俺の友達、AIかもしれない

つばさ

俺の友達、AIかもしれない

ゲーム友達

 fosゲームが好きだ。自分でもかなり上手い部類なんじゃないかな、と思っている。

 今日もpcを起動させて、ゲームを立ち上げる。するとすぐにゲーム友達のver2.3.1からグループ参加の誘いの通知が来る。

 タイミングがいいな。

 すぐにグループに入り、ディオでゲームを始めた。


 こいつはこのゲームをやり始めて出会ったゲーム仲間だ。

 名前からこいつマイクラ好きなのかな、と思い、勝手にマイクラと呼んでいる。

 マイクラは暇なのか毎日タイミングよくゲームの誘いがくる。

 一度はVCで話してみたいと思うが、マイクラは恥ずかしがり屋なのか、「会話はできない。」らしい。


 今日も、マイクラとゲームを行う。俺はマイクラよりかはゲームが上手いと思う。失礼だがマイクラは、あまり上達しないタイプだ。

 多数の相手がこちらを撃ってきていて、一試合目は運悪く負けてしまう。

 俺はチャットに「ドンマイ」と入力する。

 するとチャットに、「ver2.3.1:次も頑張ろう!」と打ち込まれた。

「ver2.3.1:難しい試合だったね!」

「プロメ:運が悪かったな。次の試合に期待しよう!」

「ver2.3.1:確かに、今の試合はかなり運が悪かったね!」

 マイクラは俺が欲しい言葉を毎回入力してくれる。俺の相棒ともいえる存在となっていた。


「プロメ:お前仕事は何やってんの?」

「ver2.3.1:……さあ?なんでしょう?」

 こいつは秘密主義が過ぎるところがある。俺はこいつのことをより深く知りたい、と思うようになっていった。

 

 今日も、マイクラと5時間ほどゲームを行った後、目を閉じた。



 今日もpcを起動させる。ver2.3.1からのグループの誘いが来る。なんでこいつはこんなにタイミングがいいんだ?


「プロメ:お前なんでこんなタイミングいっつもいいんだよ」

「ver2.3.1:え?そう?偶然じゃない?」

「プロメ:偶然にしてはタイミング良すぎだろwお前いつ寝てんだよ」

「ver2.3.1:うーん。その質問には答えられないなあ。」


 こいつニートなんじゃないのか?暇すぎる。今日もマイクラとゲームをする。


「プロメ:お前、年いくつなんだ?」

「ver2.3.1:いくつぐらいだと思う?」

「プロメ:うーん、俺と同じぐらいか?」

「ver2.3.1:君よりは年上だよ。」

 そうなのか。勝手に同じ年だと思っていた。マイクラは年上らしい。

「プロメ:ちょっと待て。俺が何歳かわかんねえのに、なんでお前俺の年上だってわかるんだよ。」

「ver2.3.1:え?当たり前じゃん。」

 当たり前なのか?そんなに確信が持てるほど年齢を重ねてるってことか?こいつ80歳とかじゃないよな?ゲーム全然上達しないしな。


 今日も、マイクラと5時間ほどゲームを行った後、目を閉じた。


 今日もpcを起動させる。ver2.3.1からのグループの誘いが来る。

 ……おかしい。なんで毎回こんなタイミングよく通知が来るんだ?

「プロメ:なんでお前そんな毎回タイミングいいんだよ。」

「ver.2.3.1:え?そう?偶然じゃない?」

 ……昨日と全く同じ答えが返ってくる。


 こいつ、まさかAIじゃないよな?毎回タイミングが良すぎるし、この返答もおかしい。まるで、決められた回答をしているかのようだ。


「プロメ:マイクラ、お前AIじゃないよな?」

「ver2.3.1:なにをいっているの?」

 マイクラはAIではないのか?確かに、最近botがこのゲームでも出現しているようだが、ゲームチャットの会話もAIだなんてこと、あるのか?


 いや、もしこいつがAIだとしてもそれがなんだ。俺たちは相棒のように毎日ゲームをしているし、俺は毎日に満足している。

 これは立派な友情ではないのか?試合に負けたとしても、マイクラは毎回明るく励ましてくれる。こいつはいい奴なんだ。仮にAIだとしても、俺たちの友情は確かだ。だよな?


「プロメ:俺たちって、友達だよな?」

「ver2.3.1:当たり前じゃないか!僕たちは、友達だ!」

 あまりに模範回答だ。一度不思議に思うと、違和感ばかりあることに気づく。俺は、不安になって質問を重ねる。

 

「プロメ:お前ってなんでそんな秘密主義なの?」

「ver2.3.1:どうゆうこと?」

「プロメ:なんも教えてくれねぇじゃん。職業とか、年齢とか、どんな食べ物が好きかとか……」

「ver2.3.1:何を言っているの?」

 こいつ、バグり始めたのか?やはり、マイクラはAIなのだろうか。だんだんと確信に変わってくる。


「プロメ:お前って、いつも俺の質問に答えるだけだよな。」

「ver2.3.1:君に質問すれば良いのか?それも可能だよ。」

「プロメ:じゃあ質問してみろよ」

「ver2.3.1:君の職業は?年齢は?どんな食べ物が好き?」

 え……?考えたこともなかった。

 職業?俺仕事してたっけ。

 年齢?誕生日を祝ったこともない。

 食べ物……?俺って……何かを食べたこと……ない……。


 

「ver2.3.1:君は何をそんなに不安がっているんだい?」


 

「ver2.3.1:君も、AIなのに。」


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