この二人がどうなっていくのかなあとドキドキです
焦げつく匂いがページから立ちのぼるよう――構図だけで、充分にドラマチックだけどそれだけではない。恋愛という言葉が鈍く聞こえるほど、戦争と政治の濁流に飲み込まれた人々の現実が描かれています。語り口は、静謐さと激情を絶妙なバランスで同居させているのが魅力。文章は端正だけど、時折、残酷な感情が破裂する。これが戦争の物語にふさわしく思えます。イオトセ中尉とファーレンハイト大佐。まさに「戦後」の象徴。国家が瓦解しても、人間はまだそこにいて、息をするということだ――
引き返せない間違いをおかしてしまった二人。戦後の混乱の時代を生きることになるけどいつか心が通い合えばいいなと思っています。
国には裏切り者と叩かれ、なんだかヤバそうな大佐に戦利品にされる女の子…