混乱

 魔女という名の持つ、影響力の高さをしっかりと把握できていない、というティアの言葉。

 それに対し、私はこっそりと内心でそんなわけがないと不満に思っていた。

 私は自分の影響力の高さをしっかりと認識できると思っていた。

 でも、目の前の光景を見てしまうと、それも間違いだったのかもしれない。


「ちょっ!?押すなよ!?俺は今、商品を見ているだろうがっ!」


「お前っ!どんだけ買い占めようとしていやがるっ!一人一商品まで、という張り紙が見えねぇのかァァ!おいっ!」


「私は貴族であるぞっ!どけ、どけぇい!平民風情が私の前に立とうなどと不敬であるぞ!?」


 今、私の目の前で自分の作った魔道具を何とか買おうと起きている大混乱を見て、そんなことを思う。

 私の影響力、自分が思っていた以上なのかもしれない。


「落ち着いて!?皆さん!落ち着いて……っ!商品はたくさんありますっ!どうか、どうか押さないでっ!」


「み、身分差によってお客さんは分けていないですっ!魔女様の前では全人類が等しく平等なんですっ!」

 

 頑張ってティアとアロナが事態を収拾しようと努力しているけど、全然事態は収拾出来ていない。


「えぇい!落ち着けぇ!暴れようものなら、暴行罪でどんどんとしょっぴっていくぞ!お縄につきたくなければ、少しは落ち着けぇぇ!」


「お貴族の方であっても特別扱いは出来ません……申し訳ありませんが、これは魔女様からのお願いなのです。その意味がここにはるばるやってきた貴方様ならばおわかりいただけるでしょう?断ることなど出来ないのですよ。どうか、ここは我々の指示に……」


 なんかもう騎士の人とかまで出張ってきている。

 もう露店とか、そういう話じゃなくないかな?これは。


「あわわ」


 別に私視点から言えば、大したこともない魔道具を巡ってこんな争いが起きるなんて……い、意味がわからない。

 なんでこんなに熱狂しているんだ……っ!


「国王陛下のおなぁーりぃっ!」


 私が困惑していると、更にこの場へと新しい声が響くと共に、空間転移の魔法の門がこの場に開かれる。


「「「……ッ!?」」」


 そして、その門から出てくるのは先ほど響いてきた声が言っていた通り、豪華な衣装に身を包んだ国王陛下の一団であった。


「あわわわわ」


 な、な、な、なんか王族……いや、この国の頂点である国王陛下まで来たぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああ!?

 私の魔道具の中でもかなりしょっぱい奴らを求めてぇっ!?

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