辺境の街
私のお手製の転移ポータル。
それは今、リュース帝国という人類の国の中でもトップクラスの裕福な国の辺境の街の近くに出口が設定されている。
「……うぅん」
私はその転移ポータルを取って数年ぶりにこの辺境の街にやってきていた。
「えーっと」
ここで買わなきゃいけないのは最低限の食料品だけっ。
屋敷の方ではティアを待たせている……そこまで時間をかけず、ちゃっちゃっと買い物を終えて帰ろうっ。
「ふへっ」
久しぶりの人混みに私もなんかもうすべてが嫌になってきたし……何を買おう。まずは、主食なるものからだよね?小麦粉かな?何処に売っているだろう。
あっ、肉屋だ……肉。肉もいるよね?新鮮なお肉も買っていこう。これまで出してあげたのは保存用に加工されたお肉だけだったし……。
「……」
私は肉屋の前に立つ。
「じょ、嬢ちゃん……一体うちの店に何の用だ?」
「はうっ!?」
注文する為の準備をしていた私はいきなりお店の人から話しかけられ、息を詰まらせる。
「ふゅーっ!」
ヤバい。
そう思った私は肉屋の店にいたおじちゃんの前にお金を叩きつけ、その代わりとしてお店に置いてあった肉を手に取り、そのまま走り始める。
自分でも止められようがなかった。
「おぉー!?嬢ちゃん!?釣銭は!?それを売るのは構わねぇーけどよ!」
買っていくことは許可された!
肉をもって逃亡する私はまず、買うことを許された。
その事実だけに満足した私は肉屋とはおさらばした。
「ふぅ」
気を取り直して、次は小麦粉だね。
肉を魔法で作った収納ボックスの中に仕舞った私は小麦粉を売っているであろう場所を探す。
「いたぞっ!いたぞぉぉ!!!」
そんな中で、私は自分の耳に男性の叫び声が聞こえてくる。
「……何かあ、あったのかな?」
そんな声を上げているのは鎧で完全武装した人たちだった。
誰か、犯罪者でも追いかけているのかな……?まぁ、私には関係ないか。そんなことよりも小麦粉だ。
「はっはっはっ!こんなところで悠長に……愚か者め」
「他人から判別されない、自分の正体を認識されないようにする魔法ってのは、探そうとすれば見つけ出せるんだよっ。違和感が、確かに違和感が残るからなっ」
「次は逃がさん。大人しくお縄につけ」
「えっ?えっ?えっ?」
なんて悠長なことを思っていたら、その騎士の人たちは何故か私の四方を囲み始め、そのままこちらに向かって怒りを込めた言葉を告げてくる。
「さぁ、来い。領主様を襲った不届きものめ」
「……へっ?」
領主を襲った不届きもの。
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえええええええええええええええええええええッ!?」
そんなまったくもって身に覚えのない罪を突きつけられた私は思わず、驚愕の声をあげるのだった。
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