33 エピローグ 私は飛行機乗りだから。

 エピローグ


 私は飛行機乗りだから。


 とても長く続いた戦争は、その年にようやく終わりました。

 たくさんの人たちが亡くなりました。

 たくさんの悲しみが、残りました。

 生き残った人たちも、誰一人として、傷を負っていない人はいませんでした。(みんなが泥だらけで、傷だらけでした)

 国は焼けてしまいました。

 なにもかもが、なくなってしまったのです。

 でも、私たちは生きています。

 だから、これからも、生きていこうと思いました。

 カールおじさんのおんぼろな飛行機会社は、燃えてしまっていました。

 だから、まずはお家を建てることから始めることにしました。

 私とカールおじさんと二人で、一生簡易頑張ってお家を建てました。

 飛行機は無くなってしまったので、飛行機の技術を使って、壊れた車を直して、配達業をすることにしました。

 荷物や人をいろんなところに運びました。

 本当に大変でした。

 でも、生き残った人たちみんなと協力して、なんとかみんな、生きていくことはできました。

 毎日、毎日、悲しいことばかりで、よく夜に一人で泣いていました。

 でも、そんなある日。とても嬉しいことがありました。

 ハラが帰ってきたんです。

 おんぼろトラックの荷台から降りたハラは、麦わら帽子をかぶっていて、懐かしい、よく昔のお家で着ていた、子供っぽいオーバーオールの服を着ていました。

 ハラは私とカールおじさんのところまで大きなぼろぼろの荷物を持って、歩いてやってくると、恥ずかしそうな顔をしながら、「ただいま」と言いました。

「おかえりない」って、私は言いました。

 カールおじさんは泣いていました。

 もちろん、私も、ハラもいっぱい泣きました。

 それから私たちは三人で、もう一度、カールおじさんの会社で働きながら一緒に暮らすことにしました。

 私たちは『家族』だったからです。 


 メル


 ぼろぼろの日記の最後のページ


 黄色い飛行機乗りの少女。 終わり

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

黄色い飛行機乗りの少女。 雨世界 @amesekai

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ