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「この子を私ようにカスタムしたいんだけどいいかな?」ハラは言った。
「それは構わない。この飛行機はお前の専用の飛行機だからな」整備長は言った。
ハラはこの間の戦闘で感じたことを図にして整備長に説明をした。整備長はハラの話を真剣に聞いている。
その話のあとで「相手の情報がわかった。エースパイロットの名前はカラ。女性で南方戦線で伝説的な戦果を残したパイロットだ」と整備長は言った。
ハラもカラの名前は知っていた。赤毛のポニーテールの小柄な天才女性パイロット。(写真も見たことがあった)
年齢も若くて、ハラとおなじくらい。
暴力的で、乱暴者。空の中で出会ったら、ほとんど生きて帰ることができないことから、こちら側のパイロットたちからは赤い死神と呼ばれている。(エースをあだ名で呼ぶことはよくあった。ハラは向こう側では白い狐と呼ばれていた。そのことをハラは知っている)
「撃墜数は公式で百を超える。お前の撃墜数は?」
「八十二」とハラは言った。
数字では劣るが、戦場にいる年数で割ると、ハラのほうが成績は良かった。でもそんなことはなんの当てにもならない。戦場はつねに変化している。成績はあくまで過去のものに過ぎない。(飛行機の性能の進化や飛行機乗りたちの戦法の変化や流行りによってすぐにひっくり返ってしまう)
「相手の名前や性別や成績がわかっても意味はない。弱点とかわからないの?」とハラは言う。
「そんなものがわかるなら、相手はとっくに空に中に帰ってる」と整備長は言った。(まあ、それはそうだとハラは思った)
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