本作のジャンルはホラー。しかし、この作品には幽霊や妖怪といったものは出てこない。
が、それに類する恐ろしい生き物は出てくる。それは人。
主人公は、元々とある小さな劇団に所属していた劇作家。彼には憧れの看板女優がいた。それが同じ劇団に所属するエリーだ。
彼女がいればどんな劇でも輝く、と主人公はエリーに過剰ともいえる信頼と期待を寄せていた。
だが前述したように劇団は解散。主人公はエリーの舞台を書くことも見ることもできなくなってしまう。
そして数年後。
主人公の元に、エリーからの手紙が届く。
これが、すべての「幕開け」だった。
ホラーというジャンル上、万人にお薦めできるかというとちょっと躊躇う箇所もあるが、人怖好きの方には是非最後まで読んでほしい作品である。
演劇のお話です。
舞台女優のエリーは以前の正攻法で挑む自分を否定し、注目してもらうために過激な方向へどんどん進んでいくのですが、はたしてそれでよかったのかどうか……。
終盤のエリーのセリフは彼女の悲痛な思いを感じさせられて、こんなことして本当に幸せなのかなぁと思ってしまいました。
最後まで読んだあと、エリーは戦場に行った、というタイトルを見て、改めてこの作品のメッセージやテーマについて考えさせられました。
エリーが進んだ道……それは過激で冒涜的で非道徳的で肉体的にも精神的にも傷つく者がたくさんいて……まさに戦場と形容すべき場所でしょう。
この作品で描かれていることは、現実の皆さんにも関係のあることだと思うので、読んで損はないと思います。おすすめです。
尖鋭的、前衛的、という言葉について色々と考えさせられる作品でした。
主人公である篠織は知り合いのエリーがやっている舞台を見に行くことになる。
しかし、エリーが関わっている劇団の「演目」は色々な意味で問題のあるものばかりとなっていた。
時には大勢の前でブタを解体、はたまた不謹慎すぎるネタを親子連れが溢れる中で披露。
もちろん、結果は大ブーイング。劇場は出禁となり、あまりのひどさに逆に話題になるような事態にも。
だが、エリーは止まらない。次々と「ヤバいもの」を世に放ち続ける。それに振り回される篠織と、そのヤバさの波紋を受けて崩壊していく日常。
あまりにも酷すぎる。だが、その酷さは常軌を逸し、「常人の到達し得るライン」を越えていく。
そこにはもはや、「神」が宿りかねないほどに。
読んでいる内に、どんどんエリーの酷さに心を奪われて行くことになりました。「次はどんなヤバいものを出してくる?」と。つまらなさ、酷さによって社会に喧嘩を売るような行動。もはやアナーキズムにすら通ずるほどの反社会性。
次第にカリスマ性すら感じさせられるようになっていくエリー。そして彼女がもたらす波紋はどのようなものとなるか。
「酷さ」のバリエーションも楽しいし、エリーが最終的に「どこ」へ到達するのか。とても続きが気になる作品です。