《魔雪戦争:変態強襲》凶悪面
「ゴーレム部隊、構え!!」
「むっ」
フラーペがそう言うとパッツパツに向けて横一列に相棒のゴーレムが整列し構え始める。
その硬い甲殻は流石の鉄の剣だようと容易に切り裂けるものではない。
「突進!!」
「散開っ!!」
ゴーレムはその合図に合わせて一斉に突進をかまし始める。
パッツパツは危険を察知したのか瞬時に避けるよう命じるが、逃げ遅れたイエティは遠くに吹き飛ばされてしまった。
「魔法部隊、構え!!」
そしてその逃げた隙を狙うかのように魔法部隊が構えを取っていた。
ゴーレム部隊により逃げ場を固定させて、逃げた隙を魔法部隊の一斉射撃にて殲滅しようとしているのだ。
しかし、フラーペは少し違和感を覚えた。
(あれ、あの変態は?)
そう思った次の瞬間、魔法部隊その
「させないよ」
「なっ、何でここに……!!」
「嘘っ……!!」
(あの変態、一瞬でゴーレム部隊と魔法部隊を駆け抜けて背後に奇襲したとでも言うの――――いえ、違うわね)
ここでフラーペは気づいた。
これは権能だ。
彼は転移の権能を行使していたのだ。
負傷者が突然消えたのも、転移によって何処かに送られていたからに過ぎない。
今回もゴーレムの陰に隠れながら転移する姿を見せずに魔法部隊を奇襲してのけたのだ。
「よくも俺たちの仲間を……!!くらえ〈ストーン――――」
「「「兄貴を守れ!!」」」
「がはっ……!!」
パッツパツが攻撃されそうになった瞬間、避け終わったイエティが合流し魔法部隊に強襲をかける。
例え〈開花〉や〈花の加護〉があるとは言え一気に強襲をかけられれば対処が追いつかない。
「ぐぬぬ……悔しいけど、撤退するしかないようね……」
これでは部隊は壊滅となってしまう。
更なる被害を減らす為にもここは撤退の選択をするしか無かった。
「よぉ、お嬢さん」
「俺たちと遊ばないか?」
「ちょっと、今それどころじゃ……えっ」
ふと不躾な声をかけられフラーペは後ろに振り返った。
まるで夜の街でナンパされたかのような台詞に少々腹が立ちながら、この状況で良くそんな事が言えるなと思いながら振り返って
そこには大柄な赤い鬼が2体、こちらを間近で睨み付けている姿があった。
「ひっ……」
(魂が抜け落ちる音)
フラーペはその怖さの余り気絶した。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「おぉ、君達が【鬼ヶ島】の方々か!! 歓迎するよ」
「何、俺たちは頭の命令で手助けに回っただけだぜ……まぁ、その必要は無かったみたいだがよ」
「いやいや、君達が彼女を気絶させなかったらもっと苦戦していたと思うよ」
「…………なぁ、俺たちって怖いのか?」
「お前は凶悪面だからな〜俺の様な愛嬌のある――――」
「待て、やっぱお前の方見て気絶していた気がするぞ」
「何を!!」
このように凶悪面の鬼達だが、会話を聞いてみると非常に愉快な方々なのである。
パッツパツはそれを見て苦笑しながら、次の行動を鬼達に伝える。
「んん゛っ、話始めても良いかな」
「おっと、これは失礼」
「これから私達は本国にこの子を連れて帰って一時撤退するつもりなんだが、君達は本隊の援護に回ってくれないか」
「そりゃ構わねぇが、どこに居んだ?」
パッツパツは本隊が来るまで前線を維持したかったのだが、どうやらそう言う訳にはいかない状況となった。
メッセージログ
メイク︰絶賛戦闘中、流石に英雄二人はキツイです
本隊を指揮してきるメイクのこのメッセージ的に彼らは先行隊をフラーペに任せて、残り二名を本隊の方に回したと考える方が妥当だろう。
これでは本隊到着なんて呑気な事を考えている暇は無い。
「次に目が覚めた頃には戦場だよ。〈転送〉」
パッツパツは〈転送〉を使用して一人ずつ鬼を本隊の戦場に転移させた。
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