鉄火の料理人

「元の場所に返してきて下さい」

「ワン!!」

「「ワン」じゃねぇよ、やっぱ服着るか出てけ変態」


まぁ……うん。

知ってた。


変態曰く、元の国のプレイヤーにいつまで経ってもパンツ一丁だから北に追放されてきたらしい。

別に身ぐるみ剥がされたとかじゃなく元からパンツ一丁だったの凄くキモい。


「一応聞いておきますね、何か得意なものはありますか?」

「ふっ、元の国に居た頃は鉄火の料理人と呼ばれた者よ」

「こいつ料理人マジか」


不潔の代名詞みたいな奴に料理なんて任せて良いのか?

というか良くその国の連中こいつに厨房立たせてたな。


「私の得意分野は疑似裸エプロンしながらチャーハンを炒める事だ」

「どこに需要あんだよお前の裸エプロン」

「えっ、キモっ」


確かにこの国にはまだ料理人が居ない。

確か料理というのは満腹量の回復量が多いとか、バフが付くとか結構な恩恵があるんだよな。

適当に作った焼き魚でも”防御力増加”のバフ付いたし。

多分質が良かったらもっと強いバフだって付くだろう。

ただ、その恩恵をお前から得るのはな……。


「………………ならば一つ料理を作って下さい。それで判断しましょうか」

「正気か?」

「今の状況で追い出すには説得力が無いでしょうし、認められないってなったら流石に出ていくでしょう」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「うっっっっっっっま!!」

「美味しい……!!」


どうしよう、余計に追い出しづらくなった。

見た目裸エプロンの変態なのに料理だけは無茶苦茶旨い。

見た目裸エプロンの変態なのに!!


「この私、パッツパツお手製鮭のムニエルだ。まだおかわりあるがどうする?」

「「おかわり!!」」


……いや、もう変態とか関係ないわ。

もう胃袋掴まれてしまったからには、是が非でもこいつを加入させねばななるまい。

だって旨いんだもん!!


「よし、採用。我ら【スノーフォックス】へようこそ」

「これだけ美味しい料理作れるのなら歓迎しますよ。この際変態とか関係ないです」

「有り難き幸せ!! は〜はっはっはっは!!」


[プレイヤー、パッツパツが【スノーフォックス】へと加入しました]

[相棒のモンスター、ブルマが【スノーフォックス】へと加入しました]

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