第18話
「もう1回言わせて。助けてくれてありがとう」
そう言うと、七瀬君は顔をぐしゃぐしゃにして俯いた。
それからわたしの手をゆっくり離して、空に置く。
七瀬君は、わたしの横を小走りでかけていった。ハッとなって振り向いたころには、七瀬君は角を曲がって見えなくなっていた。
ひとり残された廊下。床に小さなシミができた。指先に残った七瀬君の体温に切なくなって、わたしの目からはまた、ぽろりと涙が零れ落ちた。
七瀬くんの手は、どんなものよりもあたたかくて、優しかった。
七瀬君が優しい理由。【完】 北葉 @kitababba
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます