「っ」

「優しいよ」

「……」

「痛かったと思うって、人の痛みを考えられるなら、優しいよ。それに、わたしに気づいて、わたしを助けてくれた」

「……」

「それって普通はできないよ。七瀬君にしかできないよ」

「……でも」

「大丈夫。怖くないよ」

こうして向き合うと、七瀬君は他の男の子と比べるとそこまで大きくなかった。小柄な七瀬君がさらに小さく見える。

そんな彼の手を握る自分の手に力を籠める。離れていかないように。消えてしまわないように。

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