∞地区

カリナ〈仮名〉

第1話∞地区の脳

オンラインVRrpgゲーム

「∞地区」は広大なワールド内で

討伐、協力プレイ、細かい分岐に別れた無限のストーリーなどを

体験できる

何処にでもあるような普通のオンラインゲームだ


ほとんどのゲームには攻略方法が存在し

調べ上げた有識者が攻略方法をブログに載せたりしている


だが∞地区が

売りにしているのは無限に遊べるということ

ストーリーも倒せる敵の数も

無限にあるため

実際に完全に攻略する方法は無い


しかし∞地区の

プレイヤーの間である一つの噂が出回っていた



”∞地区の脳”と呼ばれる完全攻略方法が入ったusbが存在するらしいのだ


攻略後の展開の内容、手に入るアイテム、経験値もすべて記されている


でも

そんなのただの噂・・・


誰も信じない



今もし、それを手に入れて

∞地区で

遊んでいる最中と


”僕”が言っても


きっと「凄い!」なんて

言葉は返ってこない



攻略サイトなんかを見て

遊ぶことが

∞地区のゲーム上で

グレーゾーンとされていても


チート行為同様

完全攻略方法を手にしていることは

全く別物で

禁止とされているのだから





僕は既にusbの中身を見た


だが開き最後まで目にした瞬間データは消えた



一瞬ほどのことだった

これじゃあ覚えれるわけ無い


しかし

すぐに所持してたことは

嗅ぎつけられ


僕はゲーム内で捕まり

消えた攻略法の代わりに

僕の

ほんの一瞬の記憶から

再生化を行い


僕の記憶に完全攻略法を呼び起こさせた




データを目にした時点で僕は

∞地区の

脳の複製品ということになる


現実の体は抹消され

所持していたusb自体も処理された



しかし

なぜゲーム側が

僕の記憶を抹消せず

再生化を行ってまで

∞地区の脳を必要視しているのか


それは


もちろん∞地区の肉体はワールドであり

脳は肉体の一部に

置いておくべきだから

一心同体で無くてはならない


人で無くなり

ゲーム側のデータとされ


∞地区の脳となった僕は

脳内の攻略法の答えへの道を

迷路のように自由に変えることが許された



攻略の有無関係無しに

チートで遊ぶプレイヤーを攻略の代償を与えるように

僕に

脳の迷路に彼らを彷徨わさせ続けろと

いう故郷なるワールド(肉体)の言葉




∞に終わらないゲームの世界

僕は死神のように違法プレイヤーたちの精神を吸い取る


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