第8話 異世界の魔導書

――手術室(改造室)


「これです!ハァハァ……」


 どうやら、カラス天狗怪人が何かを思い付いたらしく、資料を取りに、また別室に行って、今、戻って来たところです。


 もう既に怪人さん……、さっきから何往復もしていますよ。ちょっと息が苦しそうです。


 なんと言いましょうか……、この組織、お仕事の前にちゃんと準備をする意識が足りていないのかもしれません……いや、そもそも、組織なのでしょうか……、うむむ。


「ご覧ください!異世界の魔導書です!」

「ほう、これがこの間、見つかったというモンスターの図解書か」

「はい。つい先程、届いた内の一冊です。この書の元々の持ち主は書庫整理中にワリアルカンデへと導かれたとのことで、大量の魔導書を持っていたのです」


 魔導書……?

 日本に魔導書……?


 あ……っ!怪人さん、おそらくあなたが今持っている本はきっと……、


「おぉ、これが異世界のモンスターか、人間とさほど変わらないサイズだが、実に獰猛そうでいいなぁ」


「はい。そして、書に多く描かれているこの仮面の武人!これにご注目ください」


「ほぅ、数々のモンスターたちを屠っている様だな。なるほど、この仮面の武人の姿を模倣するというのか!」

「さようでございます」


 あぁ、やっぱりです。今、お二人が見ているのは……、


 月刊てれびちゃん編集部の愛蔵版……、

 『仮面ワンダー大図鑑』


 悪の博士と怪人が特撮番組仮面ワンダーの図鑑を見て勉強している光景は、私をゲシュタルト崩壊へと導きました。


「うむ、これはまだ完成とするわけにはいかなくなったな……」

「がんばりましょう」

「……さて、改造を受けている君には悪いが、予想以上に時間がかかることになった。お詫びに眠らせてやろう」


 えーー!?そんなぁ!?


 私、めちゃくちゃこの先が心配なんですけれどぉ!……まぁ、意識があるだけで、全く動けないわけですし、話すこともできないし、なのですが……、でも、それでも、ここからの改造が気になります!それなのに、眠らせちゃうんですか!


 私、これからどうなってしまうのでしょうか〜〜!?





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