第3話 そこは異世界でした
こんにちは、作者です。皆様、ご安心ください。初老男のわりとどうでもいい日常シーンは、やっと終わりです。いよいよ異世界へGO!
――光の中
最初、私はイカリングが光ったのだと思ったのですが……、違いました。光はどんどん大きくなりやがて部屋全体に広がったのです。
当然、私は光に飲み込まれたわけであります。しかも、私の全身は不思議な浮遊感に包まれてもおりますよ!
……えぇ、分かりますとも、もはや40を超えた不惑の私ですが、それても、今、何が流行っているかちゃんと押さえているんですよ。今の流行り、いや、流行りを越えて一大ジャンルとなったアレ!
異世界転生されるときの光ですよね、これ!
ハハハぁ!こりゃ、嬉しいですね!だって、異世界転生ですよ!これ!現代社会で人生が上手くいっていない人間にとっては憧れですよ異世界転生はッ!
それに……私、元々現実世界に未練はそれほどありませんですし!おすし!
ちなみに異世界転生というジャンルには様々なパターンがあります、その一番メジャーなのが、勇者として転生されるパターン!そう!そしてヒロインとの出会い!
「……」
光が収まると、そこは異世界……なのでしょうか?あれ?今のところ、目の前に広がるのは、ただの……野原……いやいや、これ草木もだいぶ荒れていますし、地面もカッサカサです。
ただの荒野。
誰もいません。普通、誰か召喚士的な人がいるはずだと私、思いますよ。お城とかそういうところで!
ベタはダメだと言う人も結構おりますがね、物語の最初はベタな方が分かりやすいと思いますよ。
「……」
しばらく放心しておりましたら、
ドッ……ドッ……ドッ……ドッ
私の背後から、規則的なリズムで何が近づいて来ております。結構、大きい揺れです。
残念なことに私、このとき、バッチリ、ビビリまして、あろうことか振り向くのをためらいました。異世界ならではの『危険要素』を避けるために、今まさに素早く行動しなければならないのに……。
こんなにためらったのは高校時代に密かに好きだった後輩の女の子に告白をためらって以来です、あぁ……。
「モンスター!!」
意を決して、なんとか叫びながら振り向くことに成功した私。そこには、私が予想しておりました通り、モンスターがッ!……では無くてですね……。
10メートルサイズのロボットが仁王立ちしていたのです。あぁ、なんて迫力!全身黒塗りでテカテカしてますよ。
「実験に必要な異世界人を探していたら、まさか面白いモノに出くわすとはな……」
しかも、しゃべりましたよ。な、なんでしょうかね、戸惑いました私、コミュニケーションができそうなのは、ありがたいのですが……。でも、私、皆様の予想通りの人見知りですよ。
「その仮面……生体ゴーレムか?」
「整体ゴーレム?なんですか?何の専門用語ですか?マッサージ?」
「意味不明だ。異世界の知識も広く収集してきたが、私もまだまだだな……フフ……ますます興味が沸いて来たぞ……やれ!」
やれ?なんだかとても不穏な雰囲気の言葉ですが……。
あれ?黒塗りロボの後ろからまた別のロボが出てきました、何か持っていますね……網?
カバッ!!
ロボが放った大きな網は、見事に私を捕らえました。生まれて初めて魚の気持ちになりました。
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