目が覚めたら異世界でした!〜なんか耳と尻尾が生えてるんですけど!?〜

鷲宮 乃乃@X始めました

零章〜旅は徒然編〜

第一話 目覚めと手紙と始まり

「う、うーん」


 とある洞窟の中棺桶の蓋が開き少女は目を覚まし、目をしょぼしょぼさせながらも当たりを見渡した。


「どこ、ここ?え!?ほんとにどこ!?いだぁ!?」


 彼女にとって全く身に覚えのない所に思わず驚き棺桶から出ようとすると足を引っ掛けて転んでしまい顔をを打ちつけてしまった。


「いたた...なんか体重いし、おっかしいな〜、私こんなドジじゃなかったけど...あれ?私何してたんだっけ...あとなんで裸!?」


 ここに来る前のことを思い出そうとするが全く思い出せず、まず身近な所から思い出そうとする。


「えっと...戸村小波、15歳で...後は...あれ?出てこない...なにしてたっけ?...は、はっくしょん!!」


 うーん、と唸るものの名前年齢以外は思い出せずにいると寒さにくしゃみをしてしまい、とりあえず羽織るものがないかと周りに何かないか探してみることにした。


「あ、服ある、これ着ていいのかな?でもこのままだと風邪ひくしいいよね?」


 まず初めに見つけたのは壁に立てかけてあったのは御伽話に出てくるような黒色をベースとした魔法使いのローブと帽子があり、おそるおそる着るとなんとびっくりサイズがぴったりではないか。


「ええ...なんでピッタリなの、でもなんか帽子に違和感あるな」


 帽子を取り自分の頭を触ると何かが頭についている感じがした。


「なんかついてる?鏡とかないかな...」


 クローゼットを開くと扉の後ろに鏡がついていたので自身を見ると絶句した。


「な、な、何これぇーーー!!!」


 そこに写る自分の真っ白の髪の上には白い狐の耳が生えており後ろを振り返ると尻尾も生えていた。


「耳!?尻尾!?何これ!!こんなの恥ずかしすぎて外歩けないよ!」


 頭を抱えていると足元に封に入った手紙が落ちていて、もしかしてと思い手紙を読み始めた。


『これ読んでいるということは無事目が覚めたらしいね、おはよう...いやもしかしたらこんばんはかな?まあどっちでもいいか。

 戸村小波ちゃん、君は今記憶を失っているはず、なぜ記憶がないか気になるだろうけどそれについては言えないんだ、すまないな』

「いや、言ってよ!」


 持っていた手に力が入り少しだけクシャクシャになってしまった。


『君の記憶を呼び戻す方法は1つだ、それはこの世界に散らばっている私の手紙を探し真っ白な魔導書パンドラを完成させることだ、それが君の記憶を思い出すヒントとなっている。

 覚悟を決めたらこの洞窟から出るといい、ああ、安心して、ちゃんと外で生きるためのブツを用意しているから』

「ブツって売人みたい...ん、この耳と尻尾のことは?もしかして最初からこうだった?」


 読み終わるタイミングでクローゼットの後ろが勝手に開き中を覗き込む。


「うわ、これって...銃だっけ?こっちは本だ、真っ白だけど...これが言ってた魔導書パンドラ?」


 他にも何があるか探っていると先程と同じように手紙が机の上にポツンと置かれていた。


『これを読んでいるということはこの部屋に入れたんだね、その武器から説明していこう。

 そこに置かれている銃は私が作り上げだとっておき魔銃だ、それは魔力を込めると発射出来る仕組みだ、まずは撃ってみるといい』


 すると、机の横が大っぴらに開き射撃場が展開されそこには的が置かれていた。


「あれを狙えばいいのかな」


 両腕でしっかりと支え的に狙いを定めてトリガーを引いて放たれた弾丸は目の前の的を跡形もなく消し飛ばし壁を抉り反動で小波も吹き飛び壁に体を打ちつけた。


「いっだい!」


 余りの痛さに悶絶しているとさっきまで読んでいた紙が近くに落ち、どうなっているのか、と続きを読んだ。


『魔力を込めすぎると自分が吹っ飛ぶから気をつけてね❤︎』

「先に書いといてよ...」

『まあ、君なら使いこなせるさ...ファイト!』

「...こんな感じの手紙を探さなきゃいけないの?」


 面倒だなー、と洞窟の天井を見上げて一息つくと射撃場へと戻ると、時間を忘れ黙々と魔銃の訓練を続けた。

 時間にして五時間が経過したところでお腹の虫が鳴り一旦訓練をやめて休憩を取ることにする。


「食べ物は...ないよね、外に行って狩りとかしようかな、的ばっか撃っててもしょうがないし、実戦あるのみだよね!」


 ついに外に出る決心をして、手紙に書いてある通りにバックに色々と詰めていく。


「お金、魔導書、タオルに水筒、あとは読み終わった手紙も持っていこう」


 肩がけのカバンに詰めるだけ詰め込むと、意外とまだ入りそうな余裕もあったが外で調達も旅の醍醐味だ、と出口に向かって歩き出した。


『さあ行くといい戸村小波、今日が君の冒険の第一歩だ』


 外に出るとまるで太陽が小波を祝福しているかのように照らしていた。

 小波はワクワクとドキドキに包まれておもわす笑みが溢れる。


「よーし、いっくぞー!!」

『PS.君が出てから数秒後に洞窟は爆発するから気をつけてね』


 後ろから迫り来る爆風に吹き飛ばされ、前にある木に体を打ちつけた。


「この手紙書いた人...絶対ロクな...人じゃない...」


 最悪のスタートをきった小波の冒険が今始まる?


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