白昼夢の様な惨劇が。
昼日中のスクランブル交差点を得体の
知れぬ虚無僧が征く。
何処から来て、何処へとゆくのか。
陽炎の様に滲む墨染めの姿を引き摺り乍ら
深い編笠、手甲の指先は狂った様に
音のない旋律を刻む。
陽炎のように、ゆらゆらと
音のない世界を、練り歩く。
尺八の音は四十万を渡り、只々繰り返す。
森閑としたスクランブル交差点を
得体の知れぬ墨染めの虚無僧がが征く。
絶叫が谺する。人々は無音に酔い痴れ
喉から鮮血を迸らせて。
黒い陽炎がゆらめく。
それは次から次へと
ゆらめいては高らかに虚無を鳴らす。
重い足枷、隠り世より引き摺り出るもの。
ぬるい血反吐の止まるを識らずに只々
無音のスクランブルを練り歩く。
かごめ かごめ 籠の中の 隠讔 は
いつか どこかで 出やる