第三十四話「魔王捕縛作戦開始」



           


ティアちゃんと共同でそれからも戦い空中艦隊を支援して進んだ。


ある時は野戦で、


ある時は空中要塞内部で、


在る時は森林で山岳地帯で戦った。


魔王軍の防空網を犯し人類軍の飛行機械群は進む。


砲爆撃と共に強襲揚陸艦型飛行機械は複数敵王都に着陸。


無数の陸戦隊と共に俺たちも出撃した。


出撃前、俺はシルバーナに言われた。


「魔王をとらえよ」


どうやら、この世界の魔王は戦闘系ではなくきちんと政治家らしい。


ゲームなら魔王と言えば圧倒的強者の代名詞。


だが現実に落とし込めばラノベですら指摘されて古いが為政者だ。


その理屈はこの世界でも同じらしい。


俺はティアを連れ戦場を疾駆した。

 

ティアを出来れば戦争に参加させたくなかった。


……が……


本人が神龍の力を使い軍部も俺もシルバーナにも反抗して暴れたために致し方なく連れて来た。


彼女は、世界を不幸にした存在にどうしても止めを刺したいらしい。


彼女は俺よりも戦闘にも殺戮にも素質があり躊躇がない。


だから連れて来たくなかったのだが、それは俺の感傷で今更の話だ……


倫理を教え彼女を押さえ込む時間が勿体なくて結局此処まで連れて来てしまった。


そもそも倫理なんて御大層な物を俺が子供に教える能力と資格は無かろう。


う~ん俺様無能すぎる。


高速高機動で、魔王城を責め立てる。


多くの砲塔、


敵陸戦部隊、


守備隊を撃破し、チートに物を言わせ破竹の勢いで進出。


敵軍の野戦軍を大剣と魔道砲撃で粉砕して行く。


敵は多かった。


浮遊戦車、


高機動歩兵、


暗黒騎士、


浮遊型歩兵戦闘車、


魔道式浮重砲、


大型重装甲ヘリ、


多連装ロケットランチャ、


使い魔の群れ、


魔道砲台群、


魔道合成生命から生み出された生体兵器群、


複数同時展開魔道障壁、


魔道式毒ガス生命、


雷撃トラップ、


呪い、


自殺兵、


ドローン兵器に盛沢山だった。


 どいつもこいつも蹂躙して魔王城までの防衛機構を粉砕していく。


邪心そのものに比べれば雑魚が良い所、城壁を第一第二第三第四まで粉砕。


魔王城に高速侵入。


不意に相棒が速度を落とした。


「私はここに残って追撃部隊の追撃を阻止する。勇者様は魔王を捕らえてこの戦争を終わらせて……」


 ティアはそう言って魔王城の巨大な入り口の前で竜化。

 

 強大なブレスと魔道砲撃能力と頑強すぎる自身の鱗と魔法障壁で身を守り魔王城への増援を断ちに入った。


ドラゴンに入り口封鎖されて敵軍は戸惑っている。


ティアちゃんはそんな敵軍に向け獣じみて牙を剥いたニッと笑う。


ブレスを放ち始めた。


敵側に付いた黒龍二キロメートル級が複数、ティアちゃんの放った極太ビームブレスに貫かれ墜落して行く。


 その戦闘能力と判断力。


一流傭兵もびっくりで俺様驚愕。


今日から彼女はボーエン・ブランシェと呼ぼう!


漫画に出て来る強化兵で熱血漢だった。


ティアちゃんその気遣いどこで覚えたのか不思議すぎる。


そのままティアちゃんは重装甲砲台として友軍へ火力支援を始めた。


驚いてばかりもいられない俺は、人外の脚力で魔王城を突き進んだ。


俺の脚力では床が踏み砕けるばかりで進めないので魔法で頑強な足場を作ってはそれを踏み俺は加速して行く。


速度域によって空気はそれぞれ気体から粘性を帯びた気体に変化するものだ。


その為に一定以上の速度を出したければ体にへばり付く大気の壁と戦わなければいけない。いわゆる音速の壁だ。


そいつをぶち抜き摩擦熱で高温になりながら燃える俺は突き進む。


魔王城に緊急展開された守備隊と近衛師団を相手に戦闘を繰り返した。


人類軍参謀総本部が作成した地図を頼りに進む。


俺は魔王の退避した地下司令部を目指した。


ドンドン進み道をふさぐ兵士も隔壁も大型兵器も粉砕して蹂躙した。


道は炎と毒煙と死体と兵器の残骸で満たされて行く。


そんな惨劇の創作者である俺は速度を落とさず突き進み大剣を振るった。


装甲扉を切り伏せ破断し地下への道へ俺は駆け込む。


 途中から道は、回廊と広い戦闘フロアに分かれた迷宮型に成り俺でも苦戦する敵兵器が多く出て来た。


 第一階層、六脚式高機動戦闘兵器が出た。


支援ヘリドローンが無数に飛び攻撃魔法を延々と放ち続ける。


俺の大剣「黒雲」でも切りずらい重装甲を示し俺の魔道砲撃をよく弾いた。


結局戦闘十分で俺の蹴りが敵装甲を砕いて敵急所のエンジン部分に魔道砲撃をしてケリがついた。


 第二階層は、幻覚魔法と毒ガス魔法と睡眠魔法の三重起動領域。


観測兵と狙撃兵が防御設備に隠れ止めを刺す瞬間を待ち受けていた。


俺は何度も撤退と魔法起動装置破壊を繰り返し強力な毒ガスで肺が焼かれ爛れながら戦う。


回復魔法で癒しバトルフィールドそのものを兵器設備諸共爆砕して行く。


 第三階層は、溶解液と聴覚攻撃する音波装置と無数の重機関砲を装備した高機動魔道歩兵の精鋭二個大隊が待ち受け激戦となった。


敵はブービートラップを無数に仕掛け迎撃準備万端に俺を迎え撃ち古臭い鎧と大剣のみの俺は大いに苦戦。


何度も四肢欠損の重傷を負いながら吹き飛んだ。


そのたび回復魔法で復活しては喰らい付くように戦闘を続ける。


近接白兵戦に持ち込み二個大隊を両断爆破した。


 第四階層は、異端だった。


 昂翼と悪魔の翼を生やした神々しい、明らかに神聖と魔性を融合させた生命が待ち受けた。


強大な力を帯びた聖魔融合の戦乙女が武装したままたった一人……


戦闘フィールド中央にある卵型培養槽に封印されていた。


そして俺がフィールドに足を踏み入れた瞬間培養槽は開き中の戦乙女が出てくる。


そいつの傍から地下レールよりスライド運搬された槍が飛び出て奴は掴んだ。


その槍は異形異質な形であった。


ドリルとバーニアの混ぜ物とでも言うべき黒銀の機械槍は複数の浮遊子機を引き連れている


大きすぎるバルキリーランスを奴は構え襲ってきた。


まるで決闘のような戦いが始まる寸前で俺は少し呆れ肩をすくめる。


俺は言ってやった。


「格好良い大剣使い曰く、興味ないね……」




次回—――、ナイスガイ停戦交渉に参加する。


バルキリーの決闘。


其れはわんこそば対決。


奴が千杯食う時俺は俺は百杯。


奴が一万杯喰う時俺は五百杯。


奴は強かった。


そして俺はお腹を壊しそうだった。


だがッ!負けられない戦いがここにあるっ!?


(嘘です)


星一つで俺様の脚力がちょっとだけ床を壊さなくなるかもしれん……


星三つでティアちゃんが「ボーエン・ブランシェって誰?」って聞いてくれるかもしれん……


星五つで俺様がわんこそばで勝てるかもしれん……いや、無理かもしれん……でも押してくれ。



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