第15話 二人目 アミ
「ミウちゃん行ってきます! これお小遣い、はい」
「リヒトお兄ちゃん行ってらっしゃい! チュッ」
今日もミウはリヒトお兄ちゃんの頬っぺたにキスをして送り出した。
これはこれで良いんだけどさぁ……なんだか凄くもどかしい。
ミウはリヒトお兄ちゃんの事が好きで好きでたまらない。
ミウの為に一生懸命働いてくれて、家事は全部リヒトお兄ちゃん。
死に掛けの女の子を拾ってきて一生懸命治療してくれて……
顔が焼けた女の子なのにまるで宝物みたいに大切に扱ってくれる。
これで好かれないと思っているんだからおかしいよね?
もうとっくにメロメロで、身も心も捧げているのに受け取って貰えない。
というか……ミウはもうリヒトお兄ちゃんの奴隷なんだから、好きにして良いのに……望まれたのは『リヒトお兄ちゃん』と呼ぶだけ。
頬っぺたへのキスもミウからせがんでようやくする様になったんだから……本当は口と口でしたいのに……額や頬っぺたしかしてくれないし、させてくれない。
大体、なんでミウが望まないと思っているのか解らない。
恩から始まり、好きになって今になっては愛しているのに……
『可愛い』『美人』『好き』『愛している』なんていうのに一向に手を出してくれない。
ミウから……そう考えたんだけどさぁ。
まるで宝物のようにミウを見て来るんだもん。
余り過激な事出来ない……本当にモヤモヤしてくる。
大体、リヒトお兄ちゃんは顔を髪で隠しているけど、凄い美少年なんだよ?
受け入れるどころかリヒトお兄ちゃんが望むならミウからしてあげたい位なのに……
もう、奥手で困っちゃう。
それが私の大好きなリヒトお兄ちゃんへの唯一の不満。
◆◆◆
今日も銀貨1枚(1万円)もお小遣い貰っちゃった。
絶対こんなの奴隷の扱いじゃないよね。
こんなのが奴隷の生活なら、なりたい職業ナンバー1になっちゃうよ。
どうしようかな?
夢のような生活だけど、いざお金を手にすると困る。
今迄は、ただ悲惨で他の子が羨ましかったけど、いざ手にするとどうして良いかわからない。
お菓子もご飯も、何時でも買えるし……外で食べるよりリヒトお兄ちゃんが作ってくれたご飯の方が絶対に美味しい。
どうしようかな?
リヒトお兄ちゃんが喜びそうな服とか下着でも買おうかな?
なにか買うなら、リヒトお兄ちゃんとの関係を進展させる事が出来そうなものが欲しい。
ミニスカートにちょっとミウにしてはアダルトな下着。
前に買って着たらリヒトお兄ちゃん凄く喜んでくれたもん。
なに買おうかな?
そう考えながら街を歩いていたら……嫌な視線を感じる。
これは明らかにミウに対する視線だ……
カッコよくて綺麗なリヒトお兄ちゃんを独占しているからやっかみの視線は良く感じる。
だけど、これは多分別物。
そんな生易しい物じゃない。
リヒトお兄ちゃんに迷惑はかけられない。
自分の人生、沢山の人に恨みを買っているのはわかる。
幾ら罪を償ったと言っても許せない人は居ると思う。
もし『リヒトお兄ちゃんが殺されたら』相手がたとえ自首して罪を償っても地の果てまで追い詰めて殺す。
ミウがそうなのだから……同じように思っている人はいても可笑しくない。
ミウは、この相手と対峙する事を決めた。
人気のない裏通りの奥まで来た。
護身用に隠し持っていたバッグの中の大きなハサミに手を掛ける。
「ミウの事をなんでつけまわすのかな? でてきたらどう!」
大きな木箱の横から、黒髪の女の子が出て来た。
「ミウ、久しぶり……匿ってくれない?」
「アミ……うん!? 私関わりたくないから……じゃぁーねバイバイ」
アミはデビルチルドレンの幹部。
ミウの片腕ではあったけど……うん、今のミウには関係ない。
今のミウは罪を償って公的には犯罪者じゃないんだもん。
リヒトお兄ちゃんに迷惑が掛かるから『デビルチルドレン』には関わらないよ。
あの時、上手く逃げ出せそうなのが1人か2人いたけど……そうだ此奴だったわ。
「ミウ酷くない? かっての仲間の生き残りに逢えたんだよ! 頭目だったんだから……」
「えーー!? だってミウは罪を償ってぇ綺麗な体なんだよ? もう悪いことはしないと決めたんだ! だからゴメンね、アミには関わらない。衛兵を呼ばないであげるから、とっとと……」
「リヒトお兄ちゃんに言っちゃおうかなぁ~ ミウがどれだけ残酷に人を殺してきたか……果たして、あの優しそうなお兄ちゃんが、それでもミウの傍にいてくれるかなぁ~ねぇ、頭目ぅ、私ばらしちゃうかも……」
アミは昔の仲間だし殺したくなかったんだけどなぁ~
だけど、リヒトお兄ちゃんとの幸せな生活の為に……うん、死んで貰おう。
「……ねぇアミいまね一線超えちゃったね。 あーあっ、折角生き延びたのに、残念ね……仕方ないよね!? 楽に殺してあげる」
リヒトお兄ちゃんとの生活の為。
可哀そうだけど、死んで貰うしかないよね。
うんうん、それしか無い。
「待って……待って、ミウ……いや頭目!」
「待たない! ミウがアミをこの世から消してあげる! 死んじゃえばもう話せないし、夢も見られないよね?」
アミは嫌いじゃ無いけどリヒトお兄ちゃんとの恋の為……死んで……
「ミウ……そうかよ! だけど、幾ら罪人でも殺したらまた、罪人に逆戻りだよっ! それでもアミを殺すんだ……いいよ。その代り私だってただでは死なない、そうね……その顔確実に傷つけてやる! 二目と見えない位に……」
「いちいち煩いな……とっとと……あっ、リヒトお兄ちゃん! どうしたの?」
なんでこのタイミングで......最悪だよ。
「今日は、はじめてオークに挑戦したんだけど、レベルアップしたあとの初日だから1体倒して終わりにしたんだ……そうしたらミウちゃんの声が聞こえたから来たんだけど、もしかして友達?」
なんでこのタイミングでリヒトお兄ちゃんに遭っちゃうんだろう。
タイミングが悪すぎるよ。
◆◆◆
「私、アミって言います! ミウちゃんとは昔からの親友なんですよ。そうだよねミウちゃん!」
この子もまた随分と可愛いな。
しかもアミちゃんって……お父さんの秘蔵コレクションの中に同じ名前のヒロインがいた気がする。
なんだっけ?
たしか、近親相姦物だったような……黒髪に黒目。
容姿迄そっくりな気がする。
「うん……そうだね」
ミウちゃんの顏色が悪い気がする。
「リヒトです。宜しくね」
「さぁ、リヒトお兄ちゃん、自己紹介がすんだ所で帰ろう。ねっねっリヒトお兄ちゃん!」
「そんな……酷い。ミウちゃんは助けてくれないの……このままだとアミは、アミは殺されちゃうのに……酷いよ!」
「それなら大丈夫! 子供に死刑は無いんだって暫く牢屋にいれられて皆の前で顔を焼かれて放免だから大丈夫よ! 頑張ってね!」
「うっうっうえーーん、アミ顔を焼かれるなんて嫌だよぉーーうっうっひぐ」
なんか聞いていると可哀そうになってきたな。
「なにか助かる方法ってあるのかな?」
「リヒトお兄ちゃん放っておけばいいと思う……自業自得だよ!」
だけど、この可愛い子がミウちゃんみたいに顏が焼かれるなんて可哀そうだ……助けられるなら助けてあげたい。
「あるんです……あの、そのお兄ちゃんが手を貸してくれるなら……多分……助かります……お願いですから、お願いだから助けて下さい……うぐっひくっお願いしますぅーー」
「えっ、僕!? 」
「そうです……お願いです。アミなんでもします。なんでもしますから助けて……」
助けてあげられるなら助けてあげたい。
だが、ミウちゃんがどうしたいかだ。
「ミウちゃんはどうしたい?」
「いいよ、助けてあげて、リヒトお兄ちゃんは、優しいからこういう時見棄てられないよね」
「ありがとう」
「ミウちゃん、ありがとう……」
「ふんっだ。ここでミウが反対したら悪人みたいじゃない?」
「それで、どうしたらアミちゃんを助けられるの?」
「うんとね……それは……」
アミちゃんから話しを聞いた僕はアミちゃんを連れて教会に向かう事にした。
ミウちゃんは教会が嫌いらしく宿で留守番するそうだ。
◆◆◆
教会につくとクルーガー司祭と目が合った。
「これは、これはリヒト様、今日はどうなさいました」
「実は……」
事情を話すと……
「確かにその手続きはできますよ。しかしリヒト様はこんな犯罪を犯した者にもお優しいのですね。 リヒト様、犯罪奴隷を持つという事は、その奴隷を一生面倒見ないといけない。そういう決まりですが大丈夫ですか?」
犯罪奴隷とは犯した犯罪を生涯奴隷として生活して行く事で償う制度らしい。
「お兄ちゃん……」
「大丈夫です」
「それならいう事は何もありません。 よいか、リヒト様に誠心誠意仕えるのだぞ。それじゃ……誓約紙を使った誓約魔法にて、契約を行わせて頂きます。 最初に言っておきますが、犯罪奴隷は贖罪の為の制度。 通常の奴隷紋の数倍拘束があると思って下さい。リヒト様に逆らえば最悪死にます……宜しいですか?」
これ不味いんじゃないかな。
ミウちゃんの時以上に酷いと思うな。
「本当にいいの?」
「アミは良いです......お願いします」
「それでは儀式に移らせて頂きます」
「「はい」」
その後、クルーガー司祭は誓約魔法でアミちゃんを俺に一切逆らえないように誓約魔法で紐づけると免罪符の書類をつくり署名させた。
この書類は各所に行くそうだ。
「これでアミ、貴方の罪は消えました。その代わり貴方の人生はリヒト様の物です。誠心誠意尽くすのですよ」
「はい」
「それではリヒト様、これで手続きは終了しました。あとは煮るなり焼くなりして下さい」
アミちゃんがこちらを見つめてくる。
勢いで引き受けちゃったけど、どうしようか……
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