二人の女王

ルイ

序章

国が燃える。

民が泣き叫ぶ。

人間とはなんと愚かなのだろうか。

こんな争い意味なんてないというのに、民の悲しみの声が国中から聞こえる。

だからこそ、私が民を救わなければ。

王宮の自室に書き置きを残し、こっそりと抜け出した。

煌びやかなドレスも装飾品も全て置いて、身元がバレないように髪も短く切った。

使用人が使い古したボロ着を身に纏い、穴の空いた靴を履いて争いの中走って走って走り続けた。

燃える街の中、熱さなんて負けずに走った。

その瞬間、敵国の兵士が剣を振りかざした。

その剣を見切り、身軽に避け落ちていた剣を手に迷いなく、兵士の足に切り込んだ。

「うぁぁぁ!!」

兵士は痛みに転げ回り他の兵士が集まる前にその場を去ろうと剣を捨てその兵士を見下ろし頰に着いた血を拭う。

「私は絶対この争いを終えてみせる」

誰にいうでも無く、自身に力強く鼓舞するように口にして再び走り出した。

奇跡のある国へと。


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