第2話 門番はちょろかった、俺は強かった
森の中で1人ポツンと立ち止まる訳にもいかず、俺はとりあえず歩き始めた。
「にしても、勇者召喚のはず、、だよな?
なんで俺こんなとこで1人彷徨ってんだマジで…」
飲み物も食料も、オマケに即戦力の祝福もない俺は自分の周りを警戒しつつ愚痴る。
「あー、そういやステータスあるんだよな、見てみるか。
言葉に出せばでるかな?ステータス!
あ、ほんとに出た。」
《ステータス》
名前 シンスケ 年齢 18 種族 ヒューマン Lv.1
職業 未設定 サブ職業 未解放
HP 100/100
MP 100/100
攻撃力 12
防御力 7
魔攻 8
魔防 7
俊敏 4
運 16
〈スキル〉
無し
「これは、、いいのか?わかんねえな。」
(職業が未設定になってるし、設定してみるか?)
俺が職業へと意識を向けると選べる職業の一覧が広がった。
《設定可能職業一覧》
・戦士
・狩人
・魔法使い
この3つか…
「今の俺が選ぶべきなのは…これか?」
《ステータス》
名前 シンスケ 年齢 18 種族 ヒューマン Lv.1
職業 戦士Lv.1 サブ職業 未解放
HP 150/150
MP 100/100
攻撃力 20
防御力 14
魔攻 8
魔防 9
俊敏 10
運 16
〈スキル〉
・身体強化 Lv.1
「お、めっちゃ伸びた。」
俺は戦士を選ぶことにした。
まあ、使い方の分からない上に1人の今遠距離職の魔法使いは有り得ないとして、狩人も遠距離な上に弓とかないと全く戦えなさそうだからな、消去法だ。
そんなこんなで歩いていると舗装された道を見つけたので辿っていると何とか街に着いた。
「意外と街の近くに送られてたみたいだな。
しっかし、これは…」
そこにはThe荒くれ者の街といった光景が広がっていた。
「おい!何割り込んでんだてめぇ!」
「あ?!んなもん知るか!」
街に入る門の前でもはや見た目は盗賊にしか見えないようなヤツらが言い争っている。
「うわぁ、最初の街がこれかよ…」
などと言っているとあることを思い出す。
「あれ?ていうか俺身分証とかねえな…」
その時、争いを門番が止めに来る。
「おい!貴様ら!門の前で争うのをやめろ!」
「あ、いいこと考えた。」
門番が争いに介入してる間に間にこっそり横を通り門を抜ける。
「うし、何とか行けたな…
多分、なんか法律とか引っかかってるだろうけど。」
少しあとが怖くなり冷や汗をかいたが元はといえば俺を呼び出した神のせい、気にしないことにした。
「うん、オレワルクナーイ。」
とりあえず、もし怒られたら怒られた時考えるということで俺は冒険者ギルドを目指すことにした。
「多分あるだろ、ゲームみたいな世界なんだし、なきゃ詰む…!」
街を探し回るとお目当ての冒険者ギルドらしきものを見つけたので入ってみる。
「おお、なんか想像通りだけど、現実出みると感動だなぁ…」
そこにはアニメやゲームで見た通りの光景があった。
酒場やクエストボード、受付などがあったので俺は登録のために受付にいく。
「あのー、冒険者として登録したいんですけど…」
「ん〜?登録?
はぁ〜…めんどくさいけどこれ書いて〜。」
だいぶやる気ねえなこいつ。
渡された紙を見ると書く欄は名前、職業くらいだったのでささっと書いて渡す。
「ん、戦士のシンスケね。
これ登録の証ギルドカードね、無くしたら罰金だから〜。」
今気づいたけどこっちの言語を話せるのはもちろん、読み書きもできるのか俺。
「って、説明とかないんですか?!」
「え、めんどくさい…」
なんだこいつ。顔は可愛いのに…
敬語を使うのもバカバカしくなった俺は受付嬢に詰め寄る。
「後でルール違反とか言われたら困るんだよ!
今のうちに説明した方が面倒ないだろ。」
「…たしかに?じゃあ説明する。」
受付嬢の説明を要約すると、
冒険者にはランクがあり、一番下がE、1番上がSらしい。
それ以上もあるにはあるらしいけどほぼ居ないから実質Sが最高なんだとか。
Eのギルドカードは初心者ということもあり木らしい。
上に行けばいくほどいい材質なんだとか。
他のギルドもカードは似たものを使っているとかなんとかで、区別にはカードに刻まれた紋章で判断するしかないらしい。
冒険者ギルドは剣と盾の紋章が刻まれている。
ルールとかは特には無いが一般市民への過剰な暴力は厳罰だが冒険者同士の争いはほぼお咎めなしなんだとか。
「後、依頼は罰則金があったりもするから気をつけて、以上。」
「了解。それと1個質問なんだが…」
「え、なに?」
「冒険者として強くなるにあたってこう、講習みたいなのはないのか?」
「一応ある、でも無料のやつだから講師がDランクのあんまり強くない人だからあんまり使われない。」
「それでもいいんだ、どこで受けられる?」
「そう、ならあっちの奥の訓練所に行って。」
「眠そうな顔しやがって、ほんとに仕事中かよ…」
「まあいいや、教えてくれてありがと、せっかくだし名前も教えてくれるか?」
「アルマ。」
「俺はさっき書いたから知ってるだろうけどシンスケだ、よろしくな。」
「…」
めちゃくちゃ無視された。
「無視…まあいいや。
助かった、またな。」
「…」
少し最後のアルマの様子は気になったものの、アルマに声をかけ訓練所に向かうとそこには背の高いチャラそうな金髪の男が立っていた。
「あー、あの、訓練所でやってる講習を受けたいんですけど…」
「ん?あー、君は初心者の子だね?
僕はギル、見たところ武器も防具もない着の身着のままって感じだけど…」
「あー、お金ないんですよね、一応戦えるとは思うんですけど…」
「そう?まあそういう子も多いから大丈夫だよ!
それと、敬語は舐められるからあまり使わない方がいいよ、冒険者としてやっていきたいならね。」
「あ、はい、わかりま…わかった。」
「うんうん、それじゃ何を学びたいのかな?」
最初にチャラそうとか思ったのが申し訳ないくらいギルはいいやつだった。
講習として薬草の見分け方や魔物の見つけ方などを教えてもらい、俺がお金が無いのもありその日のうちに外で薬草採取と魔物狩りをすることになった。
「いやぁ、にしてもすぐに薬草を見分けられるようになるなんてすごいね。」
そう、俺は才能があったのかすぐに薬草が分かるようになった…
そのため早速採取と魔物狩りに行くことに。
(ていうか多分祝福の効果だよな、才能ってまさか薬草採取の才能だけ100倍とかじゃないだろうが…もしかして全部100倍されてんのか?)
もしそうだとしたら…
「ほんとに最強に…」
「ん?何か言ったかい?」
「あ、いやなんでもない!」
「そうか、そろそろ魔物が出る場所だ、気を引き締めてくれよ?」
「あ、ああ。」
俺たちは今、門を出て体内時計で1時間程歩いた森の中に居た。
(戦士になった影響かめちゃくちゃ歩けるな…)
「シンスケ!魔物が出たよ!
あれは…ゴブリンだ!」
ギルが指さす方向を見ると肌は緑色の小人がいた。
しかし服は腰蓑だけで棍棒を持ち、顔を醜悪に歪ませていることからアニメやゲームの通りのゴブリンなのだと分かる。
「シンスケは武器がないし、初心者が戦える魔物のゴブリン、スライムの2種の内スライムは打撃がほとんど効かないから強くなりたいならゴブリンを倒すしかない、できるか?」
「ああ、いける、はずだ、!」
俺の祝福は才能100倍。
だから最弱の魔物にあげられるゴブリンくらいなら才能の暴力で勝てる、はずなのだ。
(向こうの世界でも、天才は最初から凡人を圧倒してたんだ、俺ならできる…!)
「僕は少し離れてみておく、行ってこいシンスケ。」
「ああ。」
俺が少しづつゴブリンに近づくとギルを警戒してたのか少し離れた場所でこちらを見てるだけだったゴブリンも近づいてくる。
(ゴブリンが持ってるのは棍棒、当たったら相当ダメージはでかいはず…)
「ならやることは1つ、だな。」
「ゲギャア!」
ゴブリンが走って襲いかかってくるが俺の行動の方が一手早かった。
俺が選んだのは…
「棍棒の届かない距離から石をぶん投げる!」
「ギャア!」
投石だった。
近くの石を手当たり次第ゴブリンに投げた。
才能100倍の効果はすごく最初は急所を棍棒で守れていたゴブリンだったがどんどん頭が冴えどこを狙えばいいかが分かり、まずは棍棒を持つ手、次に足と、抵抗ができないようにしてから頭を大きな石で殴った。
「ギャ…」
「はあ、はあ、こ、殺せた、のか…?」
「すごいよシンスケ!魔物とはいえ初心者は生き物を殺すことに慣れていなくて吐いたり殺せなかったりするのに…」
「あ、ああ、なんか大丈夫みたいだ…」
あの神様が何かをしたのか、俺はゴブリンを殺しても罪悪感なんかは感じなかった。
そのかわり感じたのは体が熱く、強くなる感覚。
これは…
「レベルアップ、か?」
ギルに話を聞くと日頃の生活でも経験値は入るが魔物を倒すと段違いに経験値を得られるらしい。
そのため初めて魔物を倒した人はたいていレベルアップをするのだとか。
とはいえレベル1なのは驚かれたが…
「途中から石がすごい速さで狙う場所も正確だった、もしかしたらスキルを獲得したんじゃないか?
…それにしてもあの速度での上達は異常だが…」
ギルに言われ現在のステータスを見ることにした。
(まあ、才能100倍でやった投石の事でちょっとワクワクしてるのもあるけど…)
「ステータス!」
《ステータス》
名前 シンスケ 年齢 18 種族 ヒューマン Lv.5
職業 戦士Lv.2 サブ職業 未解放
HP 220/220
MP 120/120
攻撃力 26
防御力 20
魔攻 11
魔防 14
俊敏 17
運 20
〈スキル〉
・身体強化 Lv.1
・投擲 Lv.3
・識別 Lv.2
(めちゃくちゃ伸びてる!
スキルも新しく2つ手に入ってるし…)
「あ、そういえば聞き忘れてたんだけど、ギルは身体強化の使い方って知ってるか?」
「ん?もちろんだよ。
ただ念じればいいだけさ、大抵のスキルは念じれば発動する。」
「なるほど…」
(めちゃくちゃ忘れてたけどこれ使ってればもうちょい早く勝てたんじゃ…いやいや、その分投擲が伸びたんだからいいよな。)
「ありがとうギル、分からないことが多いから助かるよ。」
「いやいや、気にしないでくれ、さあ先に進もう。」
「あー、いや、でももう昼過ぎだし…」
「まあまあ、もう少しだけ、ね?」
「…ああ、わかった。」
その時のギルの話し方は少し引っかかったものの俺自身強くなれることを楽しんでいたので進むことにした。
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