第7話
「ほほう、なかなかに
いや、マジでマジで。
一面彫刻でビッシリじゃん。壁も扉も、なんだかよくわからない模様だか象形文字だかでビッシリ埋まってる。
「これ、文字? それとも模様?」
「いや、僕にもわからないんだよね。僕も最初は古代魔法文字かと思ったんだけど、この世界の古代魔法文字って英語でアルファベットなんだよ」
「なにそれ、浪漫ないなぁ」
英語の国が滅びて日本語の国が興ったってこと? この世界って、変な歴史歩んでるなぁ。
「けど、お陰で古代語の解読はラクラクだよ。固有名詞がちょっと面倒なだけでさ」
むう、それはメリットだな。
俺のいた世界なんて、古代の記録は軒並み破壊されて消失してるからな。遺跡すら残ってない。見渡す限りの荒れ地だ。浪漫なんて欠片も残ってねぇよ。
「まぁいいか。それで、これからどうするんだ?」
「簡単だよ、こうするだけ」
おっ? 扉開けるのか? いや俺を押し
◇
「ようこそ。ここは天候と裁きの神『サンドラ』の神殿です」
付けても……って、えっ? 何が起きた? ここどこよ?
どこまでも続く青い空に白い床、眼の前には……豆? あっ、俺か。 えっ、俺!?
俺はここに……って、アレ? 手足がある? 視点が高い? それに、この手の甲にあるホクロ……これ、転生前の俺の身体じゃね? 懐かしいな、この足の短さ! 泣けてくるね!
ってか、なんで全裸? いや、股間に葉っぱが張り付いてるな。かろうじて全裸じゃない。アダムスタイルってやつか。俺、リンゴなんて齧ったっけ? ここエデン?
はっ! 俺がアダムならイブがいるはず! どこだ、半裸美女はどこに居る!?
「否定します。この空間はエデンではありません。この空間に半裸の女性は存在しません。この空間はサンドラの記憶領域に作成された擬似的な空間です。扉に張り巡らされた魔力線を通じて個体名『ボン=チキング』の精神へと接触しています。エラーが生じています。個体名『ボン=チキング』の外観情報と内面情報が一致しません。修正を試みます……修正できませんでした。再度修正を試みます……修正できませんでした。修正は不可能と判断しました。安全のため、これより接触は閉鎖環境にて実行されます。この情報交換中は常時検疫が実行されます」
いや、何言ってるか分からん。わかったのは、ここに半裸のお姉さんはいないってことだけだ。ちっ!
まぁ、ここが仮想空間だってことも、なんとなくわかるかな? あれだろ、VRみたいなもんだ。で、俺のアバターは半裸。いや、十分の九裸。誰の趣味だよ?
あれだな、ビートが俺を扉に押し付けたから、俺とサンドラって神様の意識が繋がったっぽい。もう、やる前にちゃんと説明しとけよなビート。
あれ? そういやビートは神様と直談判するって言ってたけど……もしかして俺が直談判する流れかコレ? やる前に説明しておけよなビート!
まぁいい。ならば俺がやることはひとつだけだ。
ぼく、わるいだいまおうじゃないよ?
だから見逃してぇ〜、お願い? ね?
「否定します。懲罰を執行する際に善悪という概念は考慮されません。同様に職業も考慮されません。また、サンドラは個人に対する懲罰権を有しません。サンドラの懲罰権は集団、国家、社会に対して発動します。個体名『ボン=チキング』に対する懲罰は新生物『魔王樹』という集団に対して執行されます」
なにぃ!? ってことは、俺を消そうとしたんじゃなくて『魔王樹』という種を消そうとしたってことか? 分身を連れてきても駆逐されちゃう!?
いやいや、なんでさ!? 俺だって好きで魔王樹に生まれたわけじゃねぇよ! いや、生まれたときは魔王樹じゃなくて魔草だったんだけどさ。進化して魔王樹になったわけで。
「情報に欠落が見られます。サンドラの記憶領域に魔草という単語は存在しません。情報の更新を要求します」
あん? いや、魔草の情報って言われてもな。俺も俺以外に見たことないからわかんねぇよ。元の世界でも俺以外には居なかったんだよな。いったいどこから種が運ばれてきたんだか。
もしかして、魔草自体が他の世界から飛んできたものだった? いや、まさかな?
「情報を更新しました。審理の前提条件が変更されました。再審理中……調査のため遺伝子を採取します。再審理中……結審しました。遺伝子解析から、魔王樹は当世界で発生した生物ではないことが確定しました。魔王樹は当世界で創造された生物ではないことが確定しました。よって、魔王樹は重大禁忌『新生物の創造』に該当しないことが確定しました」
ふむ? つまり?
「個体名『ボン=チキング』並びに種族名『魔王樹』は懲罰対象から除外されました」
マジか!? ようしっ! よくやった俺! これで消滅を免れた! ぶっつけ本番だったけど、なんとかなるもんだな!
もしかして、これも【話術】先生のおかげかね? いやぁ、いつもいつもありがとうございます! やっぱ、持つべきものは優秀な
「情報の更新を要求します。当世界における技能と異世界における技能との間に差異が見られます。速やかな情報の公開を要求します」
おう? 豆から糸? 納豆になったわけじゃねぇよな?
おおう!? 身体が動かん! なんだこれ!?
豆の糸が腰に! なんか嫌な予感!
「迅速な情報の共有のため、個体名『ボン=チキング』との深い接触を実行します。接触時には大量の情報が交換されます。負荷による一時的な痛みの発生が予想されます。抵抗は負荷の増大が予想されるため推奨しません」
痛いのは最初だけ、すぐに気持ちよくなるからってか!?
いや待って、心の準備が! 葉っぱ取れちゃう!
っていうか、豆と腰で、迅速な深い接触って、もしやあなた!? やめっ!
「実行します」
ヒュンッ! ゴチンッ!
ハグゥッ!?
◇
あー、どうかな? 説得できたかな?
俺のときは、体感では数分だったけど、現実では一瞬で情報のやり取りは終わってたはず。思い出したくないけど。
だから、もう既に説得なり情報交換なりは終わってると思うんだけど……。
「う……ぐぅ……」
「おっ! どうだった? 説得できた?」
意識が戻ってきたみたいだ。本当に一瞬だったな。
それで、成果のほうは?
「……き」
「き?」
「キ◯タマ潰れた……」
いや、お前神様と何してきたの?
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