たとえ星が砕けても僕たちは輝く

@takuto_o

第一話 目覚め

「今日も仕事疲れた。早く家に帰って寝よう」

静まり返った街を歩き家へ帰る。空には美しい星空が広がっていた。

「綺麗な星空だ。僕も星みたいに輝いてる人になりたいな」

星空を見ると考えていたことが無意識に口からでていた。


「ただいま」

弱気で疲れ果てた声が誰もいない家に響く。今夜は疲れ果てていたため食欲が無く夜ご飯を食べず風呂だけ入ってベッドへ向かった。

「起きたらヨーグルトでも食べよう。おやすみ」

こうして何気ない一日が終わるのだ。上司に怒られ、趣味に没頭する時間もない。恋人だってできない。明日も明後日もこの不変の生活が続くことを考えると目眩がする。だが、星はいつだって輝いている。どんなときでも輝いている星達を見ると自然と元気が湧いてくる。明日も仕事頑張ろう。そう意気込んでいるといつしか僕は眠っていた。


「……希望。そなたは……希望。

相反する者に……を。

シエルを解放せよ。

行け。そして願え」

謎の声が響いた。


「ぅう、何だ今の声は。って今何時だ!?」

慌ててベッドの横に置いてある時計を確認しようとした。だけど時計は無かった。それどころか目覚めた場所は僕の家では無かった。

「どうなってるんだよ。ここはどこだ?」

辺りには木々が生い茂っていて森林のような場所だった。

「そうか、これは夢だ。なんておかしい夢なんだ。早く目覚めろよ」

頬っぺたを数回叩き夢から目覚めようとした。だが何回叩いても起きることはなかった。

「あれ……夢じゃない、落ち着け僕。考えろ。もしかして誘拐事件でここまで連れてこられたとか。あるいは夢遊病か? 駄目だ、考えれば考えるほどおかしくなる」

状況を全く理解出来ず慌てていたが数分すると少しだけ落ち着いた。

「とりあえず周りに人がいないか散策しよう」

人を探しに森林の中を彷徨う。

「誰か、誰かいませんか?」

一生懸命叫び続けるが人の姿はなく自分の声だけが響く。

「誰か、誰かいませんか?誰か」

何度叫んでも何も起きなかった。


どれだけ歩いても人が見つからず途方に暮れていた。

「僕はここで死ぬのかな。いや諦めてはいけない。きっと大丈夫。今までも数々の困難を乗り越えてきた。こんなところで終わる僕じゃない」

そう自分を慰めていた次の瞬間奥の方に人の後姿が見えた。

「あれは!?人だ!」

僕は全速力で走りその人の近くまで来た。

「あの!すいません!道に迷ってしまって。ここがどこか教えてくれませんか」

息を切らしながら声をかけた。しかし返事はない。

「あの!本当に困っていて。助けてください」

再び声をかけるが返事はなかった。

「(呻き声)」

その人が呻き声を出しながら後を振り返る。

「ギュアギュアァア」

その人は目が赤く顔色が悪い。

「(大丈夫かなこの人)あの、大丈夫ですか」

僕はゆっくり近づいた。

すると、急に叫び始め体中から黒い液体が溢れ出し手が剣へと変形した。もはや人間の面影はない。化け物だ。

「ギュアギュアァアァアァアァアァアァアァアァアァア」

ゆっくりとこちらに向かってくる。僕は恐怖のあまり足が動かなかった。

「(こ、殺される。足が動かない。誰か助けて)」







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