クラスの姫は私のわんこ
犬甘あんず(ぽめぞーん)
プロローグ
第1話
アクセサリーはつけない。だって、家事の邪魔になるから。指や腕に何かをつけたら、みずきの大好きなハンバーグだって作りづらいし、首に何かをつけるのもあんまり得意ではなくて。
だから、私は十五年生きてきて、一度もアクセサリーをつけたことがない。自分にも、人にも。
「ご主人様」
鈴の音に似た声だった。彼女は今日も輝く瞳で私をじっと見つめている。星みたいなその輝きに促されるように、私は彼女の首に触れた。
少し、緊張している。初めて人につけるアクセサリーがまさか、こんな。
「手、震えてるね?」
おかしい、と思う。私と彼女はまだまだ友達ですらなくて、教室じゃほとんど話すこともない。学校での立ち位置だって違うのだ。彼女はいつも人に囲まれ、クラスの中心にいるけれど。私はいてもいなくても変わらない、目立たない生徒で。
それなのに、私は。
今、彼女に首輪をつけようとしている。
「……わかった。つけるからね」
私はそっと、彼女の髪に触れた。金色の髪を肩の方にずらして、そのまま。
淡いピンクの首輪を、彼女の白い首に——。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます