第13話  アニメ、怪物の幻視

 俺の心酔しているアニメの『怪物の幻夢』は、謎の怪物の夢に取り込まれた四人の少女の物語だ。


 リーダー格の『梨花りか』は、キジトラの子ネコ、『虎太郎こたろう』に導かれて不思議な世界に来た。

 そこでは、梨花は戦闘服を着て、剣を持って得体の知れないモノと戦っていた。マモノは、身体の原型を持たないスライムみたいなものが多くて、斬るだけでは死ななかった。そこで、『梨花』は、『虎太郎』から《炎の剣》を与えられる。


 その中で『梨花』は、弟が行方不明になっているという『那古なこ』という少女と出会い、いっしょに戦うことにるんだ。


 それから、梨花のクラスメートの『陽菜ひな』と合流して、現代の東京を舞台に不気味な生物たちと戦っていく。


 国会議事堂前、東京スカイツリー、上野公園、何処かの学校、何処かのタワマン、場所が明らかにされてない所もある。だけど俺は、ファンクラブのナンバー一桁で特典で舞台を全部場所を知ってるんだ。


 原作者が、書いた小説も持ってるからな。


 あるタワマンで、『梨花』たちは、タワマンごと怪物に飲み込まれそうになっていた少女を救う。小柄な少女は、『梨花』に似ていた。

『梨花』の妹の『果林かりん』であった。


 病弱な果林こそが怪物の正体であり、『那古』の弟も、彼女が

好きだったからこそ傍にいたくて自分の夢に引き入れたのだ。

「ただ、お姉ちゃんと遊びたかっただけ」果林の純粋な希望は、何時しか歪んだ欲望になり、大きな怪物を作り出して行ったのだった。


 俺は、目の前の『梨花』に『怪物の幻視』のあらすじを切々と話したんたんだ。


「今は、取り合えず……有栖川君」


 俺の『梨花』は、非常に不愉快な顔をして言った。


「嬉しい話をしてあげるわ」


「なに?」


「『果林』に会わせてあげるわよ」

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