第2話  自己紹介をしよう

 こうなってるのことは、後で話すとして、少し俺のことを語らせてもらいたい。


 俺は、東京のこんな高級料亭で、こんなで見合いなんてしてるセレブな生まれじゃないんだよ。


 俺の名前は、今は有栖川  光宙ぴかちゅうだが、生れた時は新庄 光宙しんじょう ぴかちゅうといった。こんなキラキラネームをつけたのは、3歳の時に病気で死んだ親父で、如何にポケモンの大ファンだったことが分かると思うが、それなら、せめて《サトシ》にして欲しかったと思っている。(かなり本気)


 生まれも東京ではなくて、S県のA町。近くに昔、遠江なんて呼ばれた湖のある町さ。

 父さんと母さんは、高校時代からの付き合いで、大学時代に俺を妊娠した母さんは、中退して俺を生んでくれた。父さんは、将来のことがあるからと大学を卒業してから、結婚式をしたそうなんだが……


 この親父がとんでもなく、ピカチュウの大ファンだったらしく、大学を卒業するまでいっしょに住めなかった息子に、周囲には《ヒカル》だと嘘を付いて、こんな名前をつけやがったんだ。


 でも親父、‥‥‥父さんは、いっしょに暮らし始めて半年ほどで、病気が見つかって、あっという間に死んでしまった。


 それからは、母さんが女手一つで俺を育ててくれた。


 名前の件は、色々あったけど、篤姫あつひめだの王冠てぃあらなんて名前の女子もいたし、高学年になったら、クラスで話し合って苗字で「さん」「君」呼びが推奨されてたからな。


 そんな訳で、俺は今まで名前で苦労したことは無かったんだ。

 中学校までは、ずっと、保育園から知ってる仲間のようなものだったから


 俺、名前以外にはキラキラしたところは1つもない。

 自慢じゃないけど、不細工だと思わないけどフツメンくらいだと思っている。眼鏡なしじゃ何も見えないし。


 ピカチュウの所為で、ゲームにはハマらなかった。

 アニメならどっぷりハマったけど。

 フィギュア作りにもハマってる。


 ああ~~ 【怪物の幻夢】の聖地巡礼がしたかったな~~


 そんな俺の運命が変わったのは、去年の10月だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る