第15話 次のステージへ



 冬が近づき、空気が冷たくなってきた。私と雄也が付き合い始めて数ヶ月。学校ではすっかり公認カップルになり、生徒会の仕事も終盤に差し掛かっていた。


 そんなある日、私は校舎の裏で意外な光景を目にした。


 ***


紗奈と健、意外な組み合わせ


 昼休み、人気のない校舎裏で、紗奈と健が並んで座っていた。


 (え、なんでこの二人が……?)


 そっと近づくと、紗奈が小さく笑いながら話しているのが聞こえた。


 「なんかさ、健って意外と優しいよね。」


 「意外ってなんだよ。」


 健は少し不機嫌そうに言いながらも、どこか楽しそうだった。


 「だって、ずっとクールなイメージだったし。」


 「彩花の前では、そうだったかもな。」


 「……そっか。」


 紗奈は少し寂しそうに笑った。でも、すぐに明るい声で続ける。


 「でも、私にはちゃんと優しいじゃん。」


 健は一瞬驚いたような顔をしたあと、「……まあな。」と短く答えた。


 (え、これ……なんかいい感じじゃない!?)


 私は思わずにやけそうになりながら、その場をそっと離れた。


 (紗奈と健……なんか、ありえるかも?)


 ***


生徒会、引き継ぎの時期


 12月、生徒会の引き継ぎ式が行われた。


 「長い間、お疲れ様でした!」


 新しい生徒会メンバーに見送られながら、私たちは生徒会室をあとにする。


 「ついに終わったな。」


 雄也が感慨深げに言う。


 「うん……なんか、ちょっと寂しい。」


 「わかる。でも、俺たちの役目は終わったし、これからは受験モードだな。」


 「そうだね……。」


 生徒会で忙しかった分、受験勉強に本気で向き合う時間が少なかった。これからは、切り替えないと。


 「でも……ちゃんとデートもするから。」


 雄也は私の手をそっと握る。


 「勉強ばっかりで息詰まるのもよくないしな。」


 「……もう、わかってる。」


 私は苦笑しながらも、その手をぎゅっと握り返した。


 (これからも、一緒に頑張ろう。)

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