氷の国の王子と宝石の国の姫

ぽんた

氷の国の王子と宝石の国の姫

昔々ある所に、氷の国の王子様と宝石の国のお姫様がいました。

氷の国の王子様と宝石の国のお姫様は

大層冷酷でいらっしゃり、

気にくわないものであらば即抹殺するほどでありました。


氷の国も宝石の国もどちらも独裁政治の国です。

特に氷の国では、王様が病気を患っていて、

代わりに王子が政権を握っていました。

毎朝10時からは謁見の時間です。

今日も一人の国民が王子の前にやって来ました。

「陛下!息子はただ『市民に自由を!!』

と言っただけでございます!!

陛下には何の危害も加えてはいません。

ですからどうかご慈悲を!!」

王子は冷たく笑ってこう言います。

「問答無用。この国では僕に逆らうものは皆死刑だよ。」

王子は国家であり、王子に逆らうことは国に逆らうことと値され、有無を言わず死刑台に立たされることとなります。

「・・・・・・こいつを連れて行け。」

大臣は国民の腕を掴み、謁見室を追い出しました。

「陛下!!ご慈悲を・・・ご慈悲をーー!!。」

国民の嘆きなど、王子に届くはずがありません。


宝石の国では、姫様は政権を握ってはおりませんが、

大変残酷なことをなさっていました。

「この世で私よりも美しい女性など必要ありません。」

姫様よりも美しい女性は、もう二度と帰ってこれなくなるのです。

お城の中では姫様の笑い声が響いていました。

ある日、一人の女性の前で姫はこう言いました。

「貴女は無能ですね。消します。喜びなさい。」

「姫様っ・・・・どうかそれだけはご勘弁を・・・!!。」

王子と同じように、姫様にも国民の声は届きません。

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