第5話 第3騎士団長レオナルドの困惑と思い

レオナルド団長がお茶を飲みながら、書類を確認している姿。

かっこいい!!

どれだけみても飽きる気がしない。

むちゃくちゃ好み・・・とはそういうものであろう。

職場が一緒なだけでも幸せ!

みているだけで癒され、元気にしてくれる・・・栄養成分たっぷりなドリンク剤またはサプリメントのような存在。

・・・・・・・だったが、???

・・・今は、少し微妙だ!

普段の団長は、はじめと同じように優しいけど、私が近づくと微妙に距離を取られる・・・物理的な距離もだし、気持ち的にも距離を取れられているように思う。

ほら、今もだ!

団長がお茶を飲み終ったことを確認した私は、カップを片付けるために、団長の席に近づいたのだが・・・。

「ありがとう。助かるよ」と告げられた言葉とは逆に、団長の顔が強張っていて、態度(体の動かしかた)もどこかぎこちない。

私は団長から受け取ったカップや副団長と自身のカップを片付けるため、部屋の隅にある簡易なキッチンのシンクにカップを置いた。

カップを洗いながら、さっきの団長のどこかぎこちなく距離の感じる態度を思い出しながら、顔をあげると・・・シンク前にかけられた鏡に映る私と目があう。

鏡に映った私の上半身・・・シンプルな前ボタンのシャツの上にノーカラージャケットを羽織った私の胸が・・・デカさを主張していた。シャツのボタンの隙間が・・・・ボタンが弾け飛びそうだ・・・。

私は急いて洗い終わったばかりのカップについた水気を拭き取り、カップを棚に戻した。

そして、「少し出てきます」と言い、この胸をなんとかすべくトイレに駆け込んだ。



ミサキが「少し出てきます」の呟きとともに執務室からいなくなった執務室では・・

男二人が書類と格闘していた。

団長のレオナルド・サイアス・レイナスと副団長のルーカス・パリス・ドラースである。

ルーカスはともかく、レオナルドの前に置かれた書類は少しも減っていない。

レオナルドは手に持った書類の確認(確認したふり)をしながら、ミサキについて考えていた。

最近、職場(執務室)が楽しみでしかたがない。

別に、書類仕事が好きなわけではない。(体を動かす方が好きだ)

だが、職場(執務室)に向かうのを楽しみにしている自分がいる。

そんなふうに感じたきっかけは、いつだっただろうか。

ある朝、執務室の扉をひらけば、フワッと良い香りとともに

「おはようございます。今日からよろしくお願いします」

はじけるような笑顔で挨拶するミサキがいた。

それからは、毎日、良い香りがして、日を重ねるうちに『良い香り』から『甘い香り』に変化していった。この『香り』は何だろう?!

ミサキからこの『甘い』香りが発せられているのを知ると、常にミサキの姿を目で追っている自分がいる。

だが、彼女が近づいてくると、『甘い』香りが強くなると同時に、俺はどうしていいのかわからなくなる。


―――――――ムラムラする。

下半身の一部分に身体中の血液が集中してくるのだ。

そして今も・・・・、通常状態にするべく深呼吸をしている。


理由わかっている。

ミサキの身体だ。

はじめてミサキをみた時、彼女の体のアンバランスさに驚いた。

むろん、表情に出すことはしなかったが・・・。

妊婦か授乳婦かとも思いはしたが、幼いのではないか?!

それに、妊婦か授乳婦にしては足や腕が細すぎる!

普通、妊婦か授乳婦は胸(の筋肉)が大きくなると同様に両腕と両足の筋肉も普段の2倍くらい太くなり強化されるのだ。

そして、軍医ナナスが診察する際にチラッと視界に飛び込んできた豊満すぎる胸!

(覗いたわけでも、わざとでもない。たまたまま、見えてしまったんだ!!)

白色のシンプルな下着に覆われた彼女の痩躯に似つかわしくない豊満すぎる胸!

軍医のナナスが彼女の胸に聴診器を当てるたび、プルプルプニプニしているではないか。(ものすごく柔らかそうだった)

彼女の胸のサイズに驚きはしたが、その彼女の胸に顔を埋めたい!

そんなことを思ってしまった自分に驚いた。


当初、彼女の見た目が幼かったため年齢を幼く推定していたが、彼女から年齢を聞いたことも相まって、彼女を『女性』として認識してしまった。

それから、彼女と同じ職場で働くようになり、(たまたまま、見えてしまった)彼女の艶かしさ(主に柔らかそうな胸)を思い出してしまう。思い出せば、自身の雄の部分が容易(たやす)く熱を持ち起き上がってくる・・・今もだ。

なんとか、平常心を保ちたいと思ってはいるのだが、

彼女の胸・・・・動くたびにフルフル揺れる胸が!

俺を煽り続けてくる。

――――――結果、さっきも・・・・

彼女にぎこちない失礼な態度をとってしまった。


彼女との仕事は楽しい。

そして、彼女が俺たちの書類を手伝ってくれるようになってから、すべての書類がスムーズに完了していく。

書類の整理整頓も俺たちが分かり易いように順に並べてくれてある。

それに、よく気がつく。疲れを感じ始めると必ず彼女がお茶を手渡してくれる。

彼女は本当に優しくて、仕事もできる。

自立した女性だと感じる。

なにより、たったひとりで突然異世界にきてしまったというのに、

彼女は心が折れることなく、何にでも一生懸命真っ直ぐに取り組んでいる。

そんな彼女には、軍医のナナスを含め多くの女友達が出来たようだ。

彼女がいる場所はいつも楽しいそうだ。

そんな、彼女を俺は・・ミサキを好ましく思っている。


だが・・・俺はどうすればいいのか・・・わからずにいる。

子供の頃から体格が良すぎた俺は、子供らしく甘えたりすることなく成長した。それを、特に寂しいとか甘えたいと思ったこともなかった。

その後も体はどんどん大きくなり、それに伴い筋肉も成長を続けていった。元々、愛想よく出来ない顔立ちと性格のためなのか、原因は分からないが、俺は女性から敬遠されがちで、恋人などいたこともない。特に鍛錬を必要とする騎士となり、現在の体格になってからは恋人・・・いや、女性すら怖がってよってこなくなった。

そんな俺は、別に性欲が特段強いわけもなく、人並みに女性と関係(騎士団専用の娼館で)を持ったことがあるくらいだ。もちろん性欲がないわけでも弱いわけでもないと思うが・・・・・・。今までは、たまに騎士団専用の娼館で、人よりかなり持続する性欲と溜まった精をただただ吐き出し、疲労困憊した相手の女性に、多めのチップを渡し帰宅する・・・そんな単純な生理現象として性欲を処理してきた。

今まで、女性にはほとんど興味をもつことなく、恋愛をしたいとも、まして結婚など考えたこともなかった。

それなのに、今の俺は・・・・。

ミサキを見るだけで胸の中が、ドキドキドキドキし始め、彼女の姿を常に追いかけ、彼女の胸を見るだけで、感情がたかぶり熱り立つ俺の下半身・・・に俺は驚いている。

彼女は、こんな俺を知ったらどう思うだろうか。

嫌がるだろうか?

嫌われるだろうか?

今は、嫌われてはいなと思うのだが。

俺の思いを受け入れてくれ!!


――――ミサキだけだ。

彼女が俺を翻弄する。

こんな俺に俺自身が戸惑っている。

だが、『俺は、彼女が好きだ!』

この思いを遂げたい!!

そのために、いかにして『彼女を射止めるか』

俺は考え始めた。


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