陌間を征く家庭訪問。その衝撃の顛末とは。

文字の羅列から様々な憶測を呼ぶこの
モキュメンタリーは、今迄に類を見ない
『仕掛け』を内包している。
一つずつの章が、生徒の家庭を訪問した
記録であるのだが…。

 何かが、おかしい。

その違和感は、些少なものからあり得ない
様なものまで大小様々に散りばめられて、
ややもすると、気付かずに読み進めて
しまうかも知れない。
 或いは、ツッコミを入れつつコメディの
如き感覚で読んで行くのかも知れないが。

 だが、いつしか違和感は異物感となり、
恐怖の棘となる。

恐怖という棘を孕みつつ、クラス全員の家庭を訪問すると……。

 そこで初めて 本当の恐怖 を味わう。


そこに作者の真の物語を展開する異彩を
見るだろう。これはまさに古典的な怪談の
手法を踏襲しつつ、怖さと笑いとの絶妙な
陌間を征く天才の成せる技である。

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