第6話 持つべきものは奴隷だった

 13.奴隷に学ぶ


 カキィン!カキィン!


「もっと足を意識しながら一撃一撃を大切に!怖がって目を背けない!」


 俺は元冒険者のライドから模擬訓練で指導を受けていた、漫画とか読むと自分でも何とかなるんじゃないかと思ってたが全然そんな事は無かった。剣を持つ手が痛い、奴隷は主人に手をあげようとすると自動で首輪が締まるが主人が許可ー安全を認識ーしていたら締まる事は無かった。


「マサル様はナズナさんに頼ってあまり体を鍛えてなかったですね?剣術もお粗末ですし、なにより筋肉が足りない。」


 そんな事言われてもほんの前まで剣なんか握ったこと無かったし…なんて言えるはずも無く言葉を飲み込む。


「いやぁ、ぐうの音も出ないです、戦闘自体避けてたのもあるので殆ど戦闘経験もないから基本的な指導は凄く助かります。」


「なら何で急に戦おうなんて思ったんです?」


「えっと、戦いの楽しさに気付いたから…?」


 戦闘狂みたいな言い訳をしてしまう、それより


「ナスハ何か機嫌悪くない?【締縛タイトニング】欲しいの?」


「そんなもん欲しくないわ!ふん!」


「明らかに機嫌悪いじゃん…えっもしかして世伽に呼ばれなかったから妬いてるの?」


「そ、そんな訳ないだろ!」


 あ、声に出てた。


「ごめん、今日呼ぼうとしてたけど嫌だよね…またレンカを呼ぶよ。」


「!ご、ご主人がどうしてもって言うなら呼ばれても良いけど…?奴隷だから拒めないし、仕方ないから、ね!」


 えぇ…これは惚れてる…かなぁ?早くない?世伽中に殺されない??


「急にナスハ可愛くなるじゃん、好き…」


「はぁ!?なっ何言ってんのご主人!馬鹿じゃないの!?」


 ナスハをからかいづつ俺は午前中を訓練に費やした。


「うーん…」


「ん?どうしたのご主人?」


 俺は昼食に屋台で買ってきたご飯を食べながら唸る。


「奴隷いるのに宿暮らしだとさ、宿にも悪いし不便だから家が欲しいけど金が無くてさ。」


「私達買うのに全財産使ったって事?ほんと後先考えないねご主人。」


「うっ、正論が痛い…ナスハ達を買う資金はを売ったらすぐ溜まったんだけどね、毎回大量に売ると不審がられそうで嫌なんだよね。」


「これって魔水晶?ダンジョンとか魔力の溜まってる地下深くにしか無いのによく採れたね。」


「これ実はナズナが作れるんだ。」


「はぁ!?ナズナさん凄すぎない!?魔水晶って作れるもんなの?」


「そう、ナズナは凄いんだよ!唯一無二のパートナーだしナズナ無しじゃ生きてけない、もはや正妻と言っても過言じゃないね!」


 《過言です…ですが過分なお言葉ありがとうございます…》


 ナズナは褒められて嬉しい様な嬉しくない様な、なんとも言えないといった声色をしていた。


「ふーん、魔水晶いくらでも作れるならあたいの知り合いで魔法研究馬鹿がいるからそいつに売ってみる?確かあいつ魔道具開発やら何やらで金持ってた気がするし。」


「そんな知り合いいたんだ!ナスハお手柄だよ!」


「よ、よせやい…///」


 俺はナスハの提案に乗ると、宿にある魔水晶を回収してその知り合いの所まで行く事にした。


「おーい、クルスいるー?ナスハだけどー」


 ナスハが古痩けた大きな屋敷の玄関前で呼びかけると扉が開く。


「んぅ…ナスハ?あんた奴隷落ちしたって聞いてたけど…」


「クルス久しぶり〜そうだよ奴隷に落ちて今はご主人に買われたんだー」


 軽話を言いながらナスハは俺を紹介する、するとクルスが俺を目利きする様に眺めた。


「あんたがナスハを、ふーん世の中物好きもいるのね。」


「ちょっとそれどういう意味だい!」


「はは、初めましてマサルです。実はクルスさんに相談があって…」


「相談?まぁとりあえず入りなよ、家の前で沢山奴隷を連れた人がいたら周りの印象悪くなるしね。」


 クルスはあまり乗り気じゃないにも関わらず俺達を中に入れてくれた。


「で?相談って何、私あんまり暇じゃないんだけど。」


「クルスさんは魔道具の研究をしているとか、なので魔水晶を買ってもらおうかなって思いまして。」


「何でわざわざ私の所に?魔道具屋にでも売ればいいじゃない?」


「纏まった大金が欲しいんですが魔道具屋に売って目を付けられるのは嫌だなと思いまして。」


「なるほど…って事はかなりの量の魔水晶を持ってるって事?」


「これなんですけど、少し欠けてますが魔力量はかなり入ってますよ。」


 そういって俺はソフトボール大の魔水晶ー魔力注入済ーを取り出した。


「へぇ中々の大きさね…【魔力マジック測量スーヴェイング】えっ!?魔力量90万以上!?こ、こんな魔水晶見た事ない!ていうかこの大きさで魔力こんなに入るの!?ねぇあなたこれどこで手に入れたの!これも言い値で買うし手に入れた場所の情報も言い値で買うわ!!」


 流石魔法研究馬鹿、急に早口になるのオタクっぽい。


「出処はちょっと言えないですけど、これいくら位になりますか?」


「入手場所くらい教えてよ!まぁでもしょうがないか…ごめんなさい言い値で買うって言ってしまったけど正直これに釣り合うお金は持ち合わせてないの…」


「えっそんな…因みにどれくらいの値段で買い取ろうと?」


「こんな魔水晶闇市でも見かけない程の逸品よ、金貨2〜3000枚でも惜しくないわ。」


 金貨2〜3000枚!?大体2、3億円!それはおかしいよ!ナズナも金貨100枚って言ってたよね?


 《(あれは魔力量を10万程入れた場合です、ですが90万で金貨2000枚以上は多いかと。)》


 あっそうだ、あの時は魔力量10万って設定したからだ。それでも良い所金貨1000枚だろう


「そ、それはちょっと多く見積もり過ぎじゃないですかね?」


「そうかしら?闇市だったら皆欲しがるからそれ位でも買い手がつくと思うわよ?」


 あ〜闇市感覚で考えていたのか、オークションみたいなものだよね多分。なら価格が上がるのも仕方ないか。


「なら今出せるお金はいくら位ですか?」


「今出せる手持ちは金貨1000枚ちょっとかしら…あっでも待って!必ず用意するから誰にも売らないでぇ!!」


 クルスさんが俺の足を舐める勢いで平伏して懇願する、この人魔水晶の為なら体売りそうだな…


「金貨1000枚でも売って良いですけど条件があります。」


「なになに!?私に出来る事なら何でもするわ!」


「ちょちょ落ち着いて、実は家が欲しいんですけど何か良い物件とか知りませんか?」


「家?うーん、家は無いけど魔道具開発の功績を認めて貰った時に王様から頂いた別荘ならあるわよ。」


「別荘!家より全然良いじゃないですか!」


「そう?でも私この屋敷から出ないから必要なかったのよね。」


 棚からぼたもちとはこの事だ。


「で、では金貨1000枚とその別荘を譲ってくれるという条件でこの魔水晶と交換するというのはどうでしょう?」


「本当!?私は全然構わないわよ!別荘を手放せて高密度の魔水晶が手に入るなんて夢見たい!マサル!困った事があればなんでも相談してちょうだいね!」


 なんてチョロい…でもこういう人大好きだ。俺の中でクルスさんの好感度が上がっていく


 クルスさんから金貨1000枚と別荘の鍵を貰うと俺は宿に戻り荷物を纏め宿で最後の宿泊をする。なお別荘には明日クルスさんが案内してくれるそうだ


「はぁ〜まさかこんなあっさり解決するなんてナスハ様々だなぁ。」


「ふふん、もっと褒めても良いよ!」


 ナスハも役に立てたのが嬉しいのか機嫌が良い。


「よし明日に備えて今日はもう寝るか、ナスハ後で部屋に来て。」


「えっ!?」


「あ、嫌なら良いんだけど…」


「だっ誰も嫌なんて言ってないだろ!先に戻るから!」


 ツンデレなのか…?分からんがOKなのだろう、俺は部屋で待ってる事にした。待ってる間にクルスへちょっとしたプレゼントを作る。


 コンコン


「ご、ご主人入っても良いかい?」


「あぁ、ナスハ入っていいよ。」


 ランジェリーを着たナスハが入ってくる、冒険者をしていた事もあり引き締まった体は逞しい。


「似合ってるね。」


「あ、ありがと…」


 いつもの軽口が出ないあたり相当緊張しているんだろう、俺もだが。


「じゃあ、始めるね。」


「あっご主人まだ心の準備が…あっん…んん…」


 初めてはレンカだと思ったんだけど、まっいっか。なんて事考えながら俺はナスハと一夜を共にした。


✂ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー✂


 14.引越しと大掃除


 翌日俺達は荷物を持ちクルスの元に訪れた。


「おはようマサル、準備は良いかしら?」


「大丈夫ですよ、別荘はここから近いんですか?」


「王様が用意してくれた所だし結構良い所だからここから遠いわよ、でも馬車を用意してるから安心して。」


「ありがとう、助かります。」


 馬車に乗り込みクルスから別荘の譲渡する手続きの書類や証明書を貰い説明を受けた、車酔いに弱い俺は正直酔っていた。


「とりあえずこんなものね。」


「ふぅ〜ありがとう書類の手続きとかしてもらって、難しいから助かります。にしても結構離れてるならクルスさんに会いずらいなぁ、昨日の内に作っておいて良かったな。」


「?なにかくれるのかしら?」


「はいこれ、昨日のよりは小さいけど欠けてないし観賞用になるんじゃないかな。」


 そう言って俺は鈍い光を放つ石で作った箱を渡すとクルスが開ける。


「!?こ、これって!【魔力マジック測量スーヴェイング】魔力量50万もある魔水晶じゃない!しかも綺麗に球体に加工されてて綺麗…あぁ美しい…ほんとに貰っていいの!?何が!何が目的なの!?」


 そう言いながらクルスは魔水晶に頬ずりをしたりキスをしている。


「ははは、喜んでもらえて何より。昨日クルスが何でも相談乗るって言ってくれたからそのお礼かな。」


「これでも金貨1000枚はするのに…恩が返せないわ!かくなる上は私をあげるわ!!娶って!」


 感激したクルスは目をギラギラさせながら自分を差し出す。


「ありがたいけど、今はナスハとレンカがいるから間に合ってるかな。」


 そう言ってナスハを見ると恥ずかしそうに目を逸らす、可愛いかよ。


「あら貴方たち…へぇなるほど、おめでとうナスハ。」


 クルスは何かを悟ったようにニヤニヤする。


「な、なにがだい!ごっご主人もあまりからかわないでおくれ!」


 ナスハがぷりぷりしているのを楽しみながら見ていると馬車が止まる。


「さて、そろそろ着いたみたいね。行きましょう」


「わぁ、でっけぇ…」


 思わず声が出る、正直俺達4人じゃ余りまくる位大きな屋敷だった。


「貸し出してたりするから月に1回は人を雇って掃除させてたけど正直汚いわね…マサル、大掃除の時間よ!」


 魔水晶を貰って上機嫌のクルスは腕まくりをして掃除する気満々だった。


「この量は4人では時間かかり過ぎるし今後もしんどいな、ナスハ達はとりあえず自分達の部屋を決めておいて簡単に掃除してて、俺はメイドを雇ってくるから。」


「あらマサル、メイドを雇うの?それじゃあ私も付いてってあげる。」


「ありがと、メイドってどこで雇えばいいんだろう?」


「メイドを雇うなら一般的には求人を出すのが普通だけど今すぐ欲しいなら奴隷市場じゃないかしら。」


「結局また奴隷を買うのか…」


「まぁ、そうなるわよね。確か市場には貴族御用達の教養を教えこまれている高級奴隷を取り扱う所もあった様な…」


「へぇ、そんなのもあるんだ。そっかメイドも教養が必要だから奴隷なら誰でもなれる訳じゃないもんな。」


「そういう事よ。」


 メイドへの認識を改めながら俺は高級な奴隷が売っている格式が高そうな所まで案内される。


「いらっしゃいませ、もしやクルス様ですか?あの高名な〈魔道具の魔女〉様にお越し頂けるとは光栄です。」


「クルスって〈魔道具の魔女〉って言われてるんだ…有名人なんですね。」


「からかわないでよっ恥ずかしいんだから。」


「良いと思うけどな〈魔道具の魔女〉ふふっ」


「ちょっと!今笑ったでしょ!!」


「ふふふ、ごめんなさい。えっと実はメイドが欲しいんですけど。」


「お連れの方がメイドをお買いになるので?かしこまりました、少々お待ち下さい。」


 恭しくお辞儀をすると店主は下がりメイド服を着た奴隷達を連れてきた。


「わぁ、メイド服良いね。」


「ありがとうございます、彼女らはうちが手塩をかけて育てたメイド達で掃除に洗濯、料理に執筆何でもござれでございます。」


「クルス、あの屋敷だと何人くらいメイドいればいいかな?」


「うーん、そうね大体5〜6人もいれば足りるんじゃないかしら。」


 目の前には丁度5人のメイドがおり、皆違った可愛さがある。凄いなぴったりだ、まさか狙って?そんな訳ないよなと店主を見ると、意味ありげな笑顔をされて俺は少し引く。


「じゃ、じゃあこの子達を纏めて貰おうかな。」


「ありがとうございます、纏めて買って頂けるという事で少し安くしまして金貨90枚になります。」


 うぉ、900万円!流石メイド高くつくぜ…


「あら安いわね定価の10枚位まけてくれるなんて良心的ね。」


「クルス様のご友人という事で特別価格でございます。」


 定価で1000万、1人金貨20枚もするのか…そんな事を考えながら俺は金貨を店主に渡す。


「確認しました、今後ともご贔屓にお願いします。」


 メイドを連れて屋敷に戻るとフロントにナスハがいた。


「ご主人お帰り〜無事メイド雇えたみたいだね。」


「ただいま。まぁ、雇ったって言うか買ったって言うか…それより皆の部屋は決まったの?」


「あたいとレンカは同じ大部屋でライドとユタも同じ大部屋にしたけど良いかい?」


「あぁ構わないけど、ナスハとレンカは1人部屋じゃなくて良かったの?」


「大きな部屋で1人は寂しいからね、メイドも住み込みさせるなら部屋も少なくなるし。」


 ナスハこんなに良い子だったっけ?と思いながら思い出した事を口に出す。


「そうだ、君達の給料は1ヶ月で金貨2枚でどうかな?ナスハ達にも同じ金額渡すよ。」


「あの、私達は買われた身ですので食事と寝床さえあれば充分なのですが…」


「あたい達だって奴隷なんだから給金なんて貰えないさ。」


「そうなると俺が付きっきりでいないといけなくなるから俺の身動きが取れなくなるんだよね、俺がどこか出かける時皆には休みを出したりするから、その時にお金が無いと困るだろ?」


「ご主人あたいを置いてどっか行っちまうのかい…?」


「いやそんな予定は無いけど!ナスハ可愛いなぁ!こいつー!」


 不意打ちの可愛い言動に思わずナスハの頭をグリグリと撫でたりしてイチャコラしてしまうが、なんとか正気に戻り、話を戻す。


「んん!という訳だから給料は1ヶ月金貨2枚で!ナスハ後でライド達に教えてあげて。」


「了解。」


「じゃあ、本格的に掃除始めるか!メイドさん達宜しくね。」


「「「「「かしこまりました、ご主人様。」」」」」


 おぅふ、男の夢が叶った。メイド達の手際もよくーあと意外とユタが掃除好きだった事もありー各部屋とキッチンや風呂の掃除が完了し、残りは後日メイド達がしてくれる事になった。ご飯はクルスが人数分買ってきてくれ何だかんだ充実した一日となった。


「流石お屋敷、風呂場が付いてるとは。ナズナお湯入れてくれる?」


 《かしこまりました。》


 ナズナにお湯を溜めるようお願いして待っていると。


 《優様、こちらを。》


 ナズナが長方形の箱型の鉱石を渡してきた。


「これって…シャンプー!?リンスにボディソープも!ナズナほんとに作ってくれたんだ!ありがと!大変だったでしょ?」


 《それらの原材料は私の情報にインプットされていましたので後は【物質操作】で成分を抽出し、それを【鉱石魔法】で作った容器に入れました。》


「いつの間に…というかどこに隠してたの?ナズナ収納魔法みたいなの無かったよね?」


 《優様にバレないよう物質操作で運んでいました。》


 サプライズの為にわざわざ隠してたのか…意外と茶目っけがあるな。


「ふふ、まんまと驚かされたよナズナ。」


 《満足でございます。》


「そういえば異世界と言えば収納魔法とかアイテムボックスと思うけどカフは付けなかったのな。」


 《…カフ様曰く収納魔法はヌルゲーに拍車がかかるらしく付与されませんでした、おのれ…》


 ナズナが悔しそうに呟く、おのれ??カフに悪感情持ってない?大丈夫??


「ナ、ナズナさん?カフの事嫌いなの?」


 《いいえ、ですが優様の要望に応えられない自分が不甲斐なく…》


「ナズナめっちゃ愛おしいじゃん…」


 《優様…》


 え?まさかの相思相愛??擬人化したら俺暴走しそう…


「ちょっとー何見つめ合ってんの、お風呂にお湯入れてくれたー?」


「あ、あぁ溜まったよ。それと説明したい物もあるから皆呼んできて。」


「了解だよ。」


 危ない危ない…ナスハが来てなかったら変な空気が流れる所だった。既に手遅れだった気もするが…


「皆連れて来たよー何の説明するんだい?」


「ナズナが作ってくれたシャンプーとリンス、それにボディソープって言ってだな…」


 俺はそれぞれを少し自分に使いながら説明した。


「へぇー良い匂いだねこれ。」


「確かにこれは凄い。」


「私の実家にも似たような物があったが香りや質がまるで違うな、一体何を使っているんだろうか…」


 ナスハが匂いを嗅ぎ、ライドが感嘆し、レンカが考察する。中でも反応が1番良かったのが


「凄い、凄いです!髪がサラサラになるだけじゃなくて良い匂いもしますし、体もスベスベでモチモチになります!これは全女の子が欲しがりますよ!!」


 1番普通の女の子っぽいユタ1番が喜んでいる、やっぱり女性はこういうのが好きなんだろうな。


「はっ!す、すみません!私興奮しちゃって…」


「ははっいや全然良いですよ、寧ろそんなに喜んでくれて俺もナズナも嬉しいです。」


 《はい、ありがとうございます。》


「そんな!こちらこそありがとうございます!!」


 説明を終えた所で俺が一番風呂に入る。すると


「ごしゅじーん、お背中流すよー?」


 「ナスハほんと急にデレすぎない?」


 「な、なに言ってんのさ!…こういうのは嫌いかい…?」


 「あ〜もう超好き、よし一緒に入るか!」


 2人きりになるとデレデレになるナスハと一緒に風呂を楽しむ、さっぱりして部屋で寛いでいると。


 「あ、主よ、きょっ今日は伽はいらないのか…?」


 ランジェリーを着たレンカが部屋にやって来る、この前見た時より髪や肌の質が良く、より一層艶めかしく見えた。


 「レンカ、髪凄く綺麗になったね。それに何だか良い匂いもするね。」


 「そ、そうか?いや、ナズナ殿のシャンプーとやらは凄いな。もうあれは手放せないぞ」


 そんな軽口で会話をしながら段々口数が減っていき、俺とレンカは数cmまで近づく。


 「レンカ、良いんだね?」


 「あ、あぁ…でも慣れてないから優しくたのm…んん!」


 そんな事を言われて大人しく出来る男はいるだろうか、いや居ない。出来るだけ優しくするよう努力はしたが、所詮は努力だった。

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