美しすぎる皇女様は初恋に奮闘中

紫呉蜜姫

女神の祝福を持つ皇女


憂いを帯びたトパーズの瞳は今日も彼女を映している。



その瞳を独占したい、私だけを映して欲しい。



私は、彼女が欲しいモノ全てを持っているのに。唯一、私が欲しいモノは彼女しか映さない。



この帝国で、私の手に入らないモノなんて無いはずなのに―――。



******


「ねぇ、レオお兄様?」



「どうした?愛しのシル」



太陽の光を帯びてキラキラと光り輝くシルクのような銀髪を揺らして、私を見る為に振り向き、とても愛しそうにブルーサファイアの瞳で私を映し、優しく微笑むレオお兄様は、エレンティアーナ帝国の皇太子。



太陽神ソルの祝福を受けていて、光属性の魔法でレオンハルト・ローゼン・エレンティアーナの右に出るものはいないと言われるほど優秀と聞いたことがある。



「レオお兄様は、お忙しいのに私といて大丈夫ですか?」



色とりどりのたくさんの花が咲き誇る庭園に用意されている椅子に座っている私の目の前に来たレオお兄様は、傅き私の手の甲に口付けを落とす。



「シルと過ごす時間が第一優先に決まってるだろ?こんなに天気がいいのに外に出ないと勿体ないだろ?」



「レオお兄様がとっても怒らない限り帝国の天気が荒れることなんて無いじゃない」



太陽神ソルの祝福を受けたレオお兄様が抑えきれないほど怒ると太陽が消えると言われている。レオお兄様は、苦笑いをしながら微笑むと立ち上がり私の隣の席に腰を下ろす。



「シルは今日、何をしていたんだい?」



「アレンと庭園のお散歩をしましたわ!」



「そうか、弟と妹が楽しくに暮らせるように私は頑張らないといけないね」



「ふふっ、レオお兄様が養ってくださるなら私はお嫁に行かないでレオお兄様にわがままをたくさん言って困らせてしまおうかしら」



「あぁ、いいよ。ずっと私のそばにいてくれ。シルの望みは全て私が叶えてあげるから」



レオお兄様と同じ色の私の銀の髪をひとすくいするとそこに口付けを落とす。

妹の贔屓目ではなく、レオお兄様はとてもお顔が整っていると思うわ。皇族の証であるブルーサファイアの切れ長の瞳にすっと伸びた高い鼻、血色がよく薄い唇に皇族の証である銀髪。



エレンティアーナ帝国においてレオお兄様と同じくらい綺麗な整った顔は見たことないわ。

私がどの家門の令息にも興味が無いのはこの帝国一綺麗な顔のレオお兄様が毎日私を甘やかすからな気がしてきたわ。



「.........っ、私の顔に穴が開いてしまうよ、シル」



レオお兄様の顔をジーッと見つめていると不意にレオお兄様がクスリと笑うと、そう呟いた。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

美しすぎる皇女様は初恋に奮闘中 紫呉蜜姫 @MitsukiShigure

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ