第7通 路上ライブ(side花音)

 紗雪、あたしは紗雪を置いてどこにも行かないよ。どこまでも紗雪といるから。ずっと一緒にいるって約束するよ。だから安心してね。

 お父さん、帰ってきてくれたよ。で、お母さんを病院に連れて行ってくれたの。うつ病なんだって。あたしもお父さんもうつ病のことよく分からないから勉強中なんだ。お父さんは会社の人と相談して、家に戻ってきてくれるみたい。家族より大事なものはないって笑ってくれたよ。会社を辞めることになってもバイトでも何でもやって、あたしたちを守ってくれるって。あたしもバイトするって言ったら、部活しなさいって言われちゃった。久しぶりにお父さんといっぱい話したよ。軽音部の話をしたら、お父さんもあたしの歌が好きだって言って応援してくれたよ。

 紗雪とお父さんに勇気をもらったから軽音部に行ってみたよ。軽音部は4人の先輩がいたよ。積極的に部活の勧誘をしてなかったみたいで、あたしが見学に行ったら驚いてた。演奏を聞かせてもらったら、ものすごく上手くてびっくりしたの。プロを目指してるんだって。中途半端な子は要らないって言われたよ。バンドごっこをしたいならおすすめしないよって、拒絶に近い言葉を言われてしまった。だからさ、あたし先輩たちとバンドをやりたいって余計思ったんだ。それで、あたしはやりたい!って気持ちを伝えたの。そうしたら試しに歌うことになって、歌わせてもらった。緊張したけど精一杯歌ったら、やるじゃんって笑ってくれたんだ。ツインボーカルにしようってあたしのことを認めてくれたんだ。ギターは後々教えてくれるんだって。で、ゴールデンウィークに路上ライブをするらしいんだけど誘われたよ。だからゴールデンウィークはいっぱい歌ってくる!応援しててね、紗雪!

 文通無理はしてたよ。紗雪と一緒。だって紗雪が大切なんだもん。手紙があたしたちを繋いでくれてるから大切にしたいんだ。

 暑くなってくるから、水分補給には気をつけてね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る