黄昏の僕は、泡沫の君と唄う
🌙十六夜勇之助🌕
プロローグ
プロローグ
第一章 スマホと手袋
第二章 白杖と帽子
第三章 ただいまとおかえりなさい
第四章 ラムネと打上花火
第五章 セイの秘密
第六章 レイアの隠し事
第七章 聖なる夜と約束の朝
第八章 オッドアイと涙
第九章 セイの誓いとレイアの答え
第十章 最後の贈り物
この世界は、大切な何かを手放す代わりに、
生きる希望を与えてくれるらしい。
だが、希望と言ったが、それは本当に希望なのか。人によっては、絶望かもしれない。
けれど、希望をもらった人が、その意味を理解した時、人は初めて前に進めるのだと思う。
プロローグ
「今回、国際ピアニストコンクールにて、見事金賞を受賞しましたのはこの方です」
司会者により紹介された男性は壇上に上がる。それと同時に、記者達のカメラのフラッシュが焚かれた。目元が隠れるほど伸びた前髪に、スラッとした背丈とタキシード姿が良く似合う。初めて彼を見た人は好印象を持つだろう。
「どうも皆さんこんにちは。この度は演奏をお聴きいただき、有難うございました。紹介に上がりました、西ノ月と申します」
「改めて受賞をされたお気持ちはどうですか?」
「とても嬉しく思います。この日まで努力した甲斐がありました」
「西ノ月さんは今度どう行った活動をしていく予定でしょうか?」
「具体的にこれといった予定は決まってませんが、今後もピアノは続けて行こうかと思っています」
「それだけ、ピアノがお好きなのですね。どうしてそこまでピアノを続けようとするのですか?」
西ノ月の脳裏にある人物の顔が浮かび、少し間をあけて答えた。
「…一度愛を誓った人に、再会するため。ですかね…」
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