Die二十五話「死に損ないの終わらない旅路」

 "誰もいなくなった"。


 刹那も、迅も、グレンも……皆死んだ。

 そして――アリスも。


 俺はまた"独り"になった。


 それが、"俺の選んだ道の果て"だった。


 俺は結局何を求めていた?


 死にたかったのか?


 それとも――


 "生きたかったのか?"


 答えは、もう分からない。


 思考が纏まらない。


 ---


 廃墟となった施設の中、俺はただ立ち尽くしていた。


 足元には、かつて"俺の仲間だった者たち"の亡骸。

 いや、"仲間"というには違和感がある。


 "利害が一致しただけの存在"。


 それでも、今ここに横たわる彼らの死体を見下ろしながら、俺の胸の奥に"言いようのない感情"が広がっていく。


 "これでよかったのか?"


 俺は、何を選んで、何を得た?


 "何を失った?"


 アリスが死んだ。


 あの時、俺の目の前で、血に染まった彼女が――


 俺に「生きろ」と言った。


 "どうして、お前が死ぬんだ?"


 "お前だけは、生きる側の人間だったんじゃないのか?"


 俺は彼女に救われたことがあった。

 俺のことを"人間"として見てくれたのは、アリスだけだった。


 なのに――


 俺が選んだ"甘い選択"が、アリスを殺した。


 俺は"異形を生かす"という選択をした。

 その結果、"異形は暴走し、アリスを殺した"。


 つまり、これは"俺の責任"だ。


 刹那たちが俺に殺意を向けたのも、当然だった。


 "だが、それでも――"


 "俺だけが生き残った"


 ---


 静寂の中、俺はゆっくりと歩き出す。


 "何のために?"


 答えなんて、もうない。


 "俺はまだ、死ねないのか?"


 生きる理由も、死ぬ理由も、何もない。

 それでも、俺は"生き続ける"しかない。


 俺が"死ねる場所"を探すために。


 この世界に、俺を殺せる存在がいるのか?


 "俺は、自分を殺す旅に出る"。


 ふと夜の空を見上げた。


 月が光を落としている。


 俺は、歩き続ける。


 どこに行くのかは分からない。あてはない。

 誰も待ってはいない。


 それでも、俺は――


 ”死ねる理由"を探し続ける。


 だから――俺の旅は、まだ終わらない。


 俺という存在が生きている限り。

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