2月27日 オーニソガラム
真白なオーニソガラムの花束を、彼は僕に差し出した。透き通るような白い花びら、そして中心の鮮やかな黄緑色のしべ。それは、彼の瞳の色とそっくりだった。心臓がドキッと跳ねた瞬間、僕の胸の奥にある感情が一気に込み上げてきた。
出会いは、大学の図書館だ。静寂の中、彼はいつも同じ席で、一人静かに、本を読んでいた。彼の名前は修一という。最初は寡黙で、少しとっつきにくい印象だったが、何回も会ううちに、彼の真剣な眼差しと、時折見せる優しい微笑みに、僕は自然と心惹かれていった。毎日のように彼を見かける度に、僕の心には小さな火が灯るようだった。
それからというもの、図書館で顔を合わせる度に、僕は彼と一言二言、言葉を交わすようになった。彼の好きな本の話、彼が興味を持つ研究の話、僕がしている研究。その一言一言が、僕の心に響いていた。彼の声を聞く度に、僕の中にある孤独感が少しずつ溶けていくのを感じた。
ある日、彼は突然僕をデートに誘った。行き先は、彼がよく訪れるという植物園だった。彼と一緒にいられる、彼のことを知ることができると、心が躍るのを感じながら、彼と一緒に歩いた。満開のオーニソガラムが、夕暮れの柔らかな光の中で輝いていた。その美しさに息を呑み、心が震えた。すると、修一が真白なオーニソガラムの花束を差し出したのだ。
「花屋さんで見かけて、君に似ていると思ったんだ。」と、彼は照れくさそうに言った。その言葉に、胸が締め付けられるような感動を覚えた。花束を受け取ると、彼は僕の手を握った。彼のてのひらは温かく、とても力強かった。手を握られることで、僕は彼の存在をより近くに感じた。今まで抑えていた感情が、一気に溢れ出した。
「修一、僕はあなたが好きだよ。」
僕の心からの告白に、彼の瞳はオーニソガラムのしべのように、鮮やかに輝いていた。その瞳を見た瞬間、僕の周りには、オーニソガラムの甘い香りが満ち溢れた。そして、僕らは静かに、ゆっくりと、キスを交わした。彼の唇の温かさが、僕の心をさらに温かく包み込んだ。オーニソガラムの花言葉、「才能」「純粋」は、僕たちの恋の始まりを祝福するように、夜空に優しく光っていた。
2月27日
誕生花:オーニソガラム
花言葉:才能
純粋
無垢
潔白
清らか
科・属:キジカクシ科・オオアマナ属
和名・別名:オーニソガラム
366日の愛の花束 辛巳奈美(かのうみなみ) @cornu
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