魔王城はゴミ屋敷
@Mirabird
第1話 魔王城の入り口にて
今から3年前、魔王と勇者の話し合いにより人間と魔物が平和条約を結んだ。
それから人間は文明を発展させ、様々な発明品で生活を豊かにしていた。
――が。その平和が今、一人の魔王のせいで脅かされていた。
「おい魔王―っ! いい加減にしろ!」
大声で叫びながら、俺は固く閉ざされた魔王城の扉を無遠慮に叩く。
二階建ての魔王城からはおどろおどろしい紫色の瘴気が放たれ、この世のありとあらゆる薬草を混ぜたような異臭が漂っている。
率直に言って、魔王城はゴミ屋敷になっていた。
「何回言えば分かるんだよ! お前が放置しているゴミから、変なモンスターが湧きまくってんだよ!」
文句を言っていると、俺の頭にコツンとペットボトルが落ちてきた。
それを手にしながら見上げると、二階の窓から二本のツノを持つ黒い牛型の獣人――魔王が顔を覗かせていた。
「魔王は既に死んだ、帰るが良い」
そう淡々と呟くと、その頭をすぐに引っ込めてしまった。
「生きているじゃねえかよ! 入るぞ!」
思い切り扉を開け放つと、ゴミまみれの玄関ホールが露わになった。
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