カラオケルームの彼女
靡き川さん
第1章
第1話 最高の転校生!
俺の名前は
「だーかーらぁー。転・校・生!可愛いかな?可愛いと良いなー。」
「ふんっ。興味ないね。。」
「どこでカッコつけてんだよ。」
実際、興味がない。しかし、キョウミねーって言っても空気読めない感が出てしまうので、あえてネタに振ってみた。
「はい、全員席につけー。」
転校生は女子らしい。そんな情報どこで仕入れてくるのだろう。変に期待されても、転校生からしたら重荷でしかないだろう。
スタスタ
その人は、満場一致で可愛いと言うに相応しい人だった。
「て、
餅の様な白い小顔に、薄めの茶髪。比較的長身でスタイル抜群。あまりに美しい容姿に、クラス内は逆に静まり返っている。
「ちょっと自己紹介タイムにしよーか。」
「えっ」
「はい、天弁さんに質問ある人ー?」
バババババッ
クラスのほとんどが一斉に挙手する。まじでびっくりした。
「どこ出身ですかー?」
「好きな男性のタイプは!?」
「兄妹いますか?」
「オススメの化粧品とかないですかー!?」
天弁さんは教壇の上でアワアワしている。
「そんな一斉に質問すんなー。すまんな。埒が開かないから、もうあそこの席に座っちゃって。」
その人気ぶりから自己紹介をせずとも勝手に人が集まると判断したようだ。天弁さんは慎ましい足取りで指定された席に向かう。
その指定された席とはーー
俺の目の前の席だ。
スタスタ
「あっ、よ、よろしくお願いします。」
向かってくる途中で目が合ってしまい、それを剥がす前に先手を打たれた。声は少し震えていた。
「よ、よろしく…お願いします……。」
応戦するが、こっちの方がぎこちなくなってしまう。相手が女子の時、何故こんなに萎縮してしまうのだろう。
彼女は椅子を引き、座る。動作によって柔軟剤か何かの良い匂いが香った。
そういえば、今の俺はとても恵まれているのかもしれない。
隣の席には
カラカラカラ…
…………?
転がる青いシャーペンが視界に入り、咄嗟に屈んで拾うと、
「あっ ごめんね?…。」
隣の左夢さんだ。彼女はペンを拾おうとした前屈みの状態で、左耳に髪をかけながらお礼を言った。
「ありがと。」
「あ、全然。」
よし、今度は動揺せずに返せた。そう思ってペンを渡そうとすると、安堵のせいで手の力が緩んでしまう。
(あっ。)
カラカラカラ…
(やばっ取らないと)
転がったペンを再び救おうと慌ててしゃがんだ。
ゴツンッッ
「「痛ったっっ」」
左夢さんと俺の声が重なる。同じタイミングでしゃがんでしまい、頭同士がぶつかったのだ。
「すいませ……?」
謝ろうと咄嗟に顔を上げると、左夢さんの手がすっと俺の額を包んだ。子供の熱を確認するときのように、左夢さんの手によって俺の前髪は少し浮いた。
「ごめんっっ だいじょう……」
バッ
左夢さんは咄嗟にその手を背に隠す。
「ぶ?」
「え?」
…………………………。
いやいやいや無理ですよ。隠せてないですよ。なんで平気そうなフリして安否確認してんの?めっちゃ耳赤くなってますよ?なんだったら顔も赤くなってきてますけど?
「なに?」
ん?なんでそんな反抗的な顔ができるの?今すんごい顔赤いですよ?
「し、心配してくれて、ありがとう、ございます?」
「い、いえ。」
左夢さんは顔を下に向けた。
「あの…………恥ずかしがってます?」
「は?は、、恥ずかしがってないし。」
「ですよね………。」
…………………うん、新学期早々きまづい。
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