第2話 明らかな現行犯でも事情聴取は大事
全裸の美少女だのファーストキスだの、言いたいことは数あれど。
何はともあれ、未完成のクリームシチューがまき散らされたキッチンがそのままではロクに話もできない。
というか全裸のままでは
親元を離れて独り暮らしをしている以上、警察沙汰は避けたい気持ちもある。
なので
未完成のクリームシチューが散乱したままのキッチンの片づけもある。
ついでに貴重品類が盗まれていないか確認したが、どういう訳か手つかずだった。
というかキッチン以外は荒らされた様子がなく、さらには少女が着ていたはずの服すら見つからなかった。
……まさか、全裸のままオレの家に?
いやいやそんなはずはがない。
現在時刻は夕方、全裸で外を出歩こうものならすぐに誰かが発見して通報されているはずだ。
おそらく、どこか人目のない場所で服を脱いでから
なぜ服を脱いだのかは皆目見当もつかなかったが。
とにかく。彼女には適当な服を貸してやるとして、だ。
やれシャワーの使い方が分からないだのやれ貸してやったTシャツの胸部分がきつくて着られないだのと様々なトラブルを乗り越えて、
じっくり聞いた後、抱いた感想はこうだ。
聞くんじゃなかった。
「……なあ。ん、えっと。アンタ」
「メルクで構いません」
所変わって、キッチンに併設されたダイニング兼リビング。
本来は数人のシェアハウス用物件であるため一人暮らしでは身に余る空間で、物が少ないせいか簡素な雰囲気が漂う。
「んじゃメルク。もう一度訊くが……お前、それ本気で言ってるのか?」
「も、もちろんですよ! 冗談なんて一言も言っていません!」
バン! とメルクが床を叩いて抗議の意を示してくる。
……シャワー上がりに白はまずかったな。
現在の彼女は全裸ではなく、
とは言ってもメルクの豊満な身体に合うサイズの下着を
……全裸とは別の意味でなまめかしい姿であった。
「ええと……まず、お前はイーティブル? とか言う、料理を司る精霊? が暮らす異世界の王女サマで? 今しがたダイナ……この世界にやってきたと?」
「はい、わたしたちはダイナガルドと呼んでいます。わたしたち
コクコクと頷きながら補足するメルク。
途中でまた何か新しい単語が聞こえてきた気がしたが、とりあえず聞かなかったことにして
「んで、今そのアンタたちの世界が……アンデリース? とにかく何らかの要因で滅びの危機に瀕していると。メルクはそれを阻止するためにミルヴィ、なんでもいいがその親玉を追ってこっちの世界にまでやってきた」
「はい!
「……
「ケージ! 今、この世界も
今にも土下座しそうな勢いメルクが頭を下げた。
「お願いしますケージ! わたしと一緒に、世界を――」
「……ああ。お前の話はよおぉ~く分かった」
「ケージ……ッ!」
パァっ、とメルクの顔が明るくなる。
継次は嘆息と共に告げた。
「今すぐ出てけ」
「なんでですかああぁぁあああぁぁぁッッ!?」
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