僕は時間を操るただの男子中学生

京極道真  

第1話 ただの男子中学 サボリの海

その日、僕は部活をサボって海に行く。

「おーい、タクマ。急げ電車来るぞ。」

駅のホームでショウとリクが呼ぶ。

2学期の期末。部活の生徒達は中体連。

先輩たちは夏予選でピリピリしていた。

この試合が終われば引退だ。

2年の僕らには正直、この試合の重みがわかっていない。

「今年は調子がいい。上手くいけば優勝で全国だ!」監督の声。

校内で話題になるには正直うれしい。

ただ実感がない。

先輩達はコワイがプレイは凄い。スター性のある先輩たちが多い。

女子からもキャーキャー。

正直羨ましい。僕もモテたい。が2年の僕らは真逆で地味なプレイスタイルの選手が多い。

僕達だって試合に出たい。反抗だ。

リクが「おーいタクマ、乗り遅れるぞ。」

「待ってくれ。今チャージする。」

慌てていた僕は財布を落とす。隣の女子。

拾ってくれた。

「はい。これ。」

「ありがとう。」

急いでいた僕は、顔もちゃんと見ずに

急いでチャージ終了。

走り出す。

肩までかかる髪が光った。『きれい。』顔は見えなかった。細い線。

『君は?』

「タクマ走れ。」

発車時間。間に合わない。

「仕方ない。使うか。」

僕は両手を広げてガードのポーズ。

「止まれ。」

時間を止めた。

白黒の世界をゆっくり歩く。

ドアの前。「動け。」

「ガッチャ。」ドアが閉まる。

「間に合ったな。」「そうだな。」

「行くぞ。」

僕らは電車に飛び乗った。7月の海はキラキラ光っていた。

僕は時間を操るただの男子中学生。



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