第24話 天界
光を抜け、地に降り立つ。
「うわあ、ひろい空~!」
眼の前。
果てしなく広がる、光の空。
その空に、いくつもの島が浮かんでおり、それぞれの島に天使の神殿と思わしき建物があった。
「ここが天界……。で、どこにあの天使がいるのよ? まさか、ひとつひとつ島を訪問するわけじゃないわよね」
「ふははははは!! 問題ない! 我に継承されたアガリアの存在を辿れば、今のアガリアに行き着く。そこにラグエルもいるだろう。我を滅ぼすためにな」
「はいはい。じゃ、行くわよ。トノカ様、よろしいですわね?」
「まっかせて~っ!」
竜の姿となったトノカの背中に飛び乗る。
「あそこだ」
進行方向に闇の魔法を放つ。
数ある島の中で最大の島。
真ん中にそびえ立つきらびやかな神殿。
「りょーかーい~!」
トノカが飛び立つ。
我の闇魔法に反応したのか、周りの島から無数の天使が集まってくる。
「なんかくるよ~」
「そこの竜とエルフと魔族! 止まれ! 貴様らを天界無断侵入の罪で断罪する!」
「はぁ、豪華なお出迎えね」
「くくく、教会は天使崇拝だったか?」
「いいえ、天使に仕える聖女崇拝よ。まあ、教義的にはアウトくさいけれど」
「ならば良かろう。エルミア、補助と回復は任せた。トノカは正面の天使をブレスで薙ぎ払え。我は側面と後背の天使を葬る」
「はーい」
「まあ、それくらいなら良いのかしら。手は下していないわけだし? ⋯⋯ほんと?」
エルミアの強化魔法を受けながら、トノカが向かってくる天使を炎で焼きながら目的の島に向かって飛んでいく。
我はティナを背負いながら、四方から飛んでくる弓矢を闇魔法で吹き飛ばし、一人ひとり丁寧に天使を闇魔法で撃ち落としていく。
「ふはははははは! まるでとんぼ取りのようだな!!」
「くそう!? なんだコイツら!? まるで止まらんぞ!?」
目標の大神殿が間近に迫る。
「アレン、つっこむよ~!」
「良いぞ、派手に放て」
「あ~い」
トノカが破壊の光線を放ち、神殿の正面に大きな穴を開けた。
その穴から神殿内部に侵入し、トノカの背から飛び降りる。
「ふんっ、勇者の頃から礼儀を知らぬヤツだ」
ラグエルが仏頂面で待ち構えていた。
「背後から不意打ちする汝よりマシであろう?」
「ふん。わざわざ天界に来たことだけは誉めてやろう。ここならば、貴様を本気で殺せるのだからな。やれ!」
ラグエルが合図すると、我の四方にいたラグエル配下の天使達が一斉に技を放つ。
「「「エンジェル・ダスト!!」」」
「!? 不味いわ! このままじゃ、避けられない!」
「あぅ、なにかあったかい。ぐぅ~」
「くくく。あえて喰らってやろう。そのエンジェル・ダストという技をな!」
瞼が重くなり、すぐに眠りに落ちていくのを感じた。
魔王アレン Lv934→Lv951眠
勇者ティナ Lv80眠
竜人トノカ Lv284→Lv296眠
聖女エルミア Lv89→Lv99眠
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