デート1-7/ヒロインの過去話(閲覧注意

※不快にさせる可能性が高い表現(特に女性の方)が入ります。読む場合は自己責任にてお願い致します。




「彼女さんが話をして楽になるなら何でも聞くし、出来るだけは共有する。けど・・無理はしないで。」

「彼氏さん・・我儘言って良いです?」

「彼女さんの我儘は我儘に入らないよ。」

「このまま・・ギュッとされたままでお話して良いです?顔を見ながら話をするのが怖いんです。」

「辛い時や耐えられない時、叩いても爪を立てても良いから。絶対に我慢しないでね。」

「はい・・」

「ゆっくり・・彼女さんのペースでね・・」

「・・彼氏さんはずっと私に合わせてくれますよね。覚えてます?初めて一緒に帰った時・・彼氏さんは歩くペースが早かった?って気にして頂きましたよね。ずっと私に合わせて気を使って頂いて・・私の名前も聞いてこない、アプリは下校に関する事が殆ど、夏休みも全く連絡無かったですよね?」

「それは・・」

「彼氏さんにも事情があったんですよね。ですが、それがいい方に作用しましたよ。」

「?」

「私の一目惚れで彼氏さんに声をかけて一緒に帰るようになりましたが・・最初は不安が無かった訳じゃないです。自分の思いは裏切られるかもしれない、そう思うと・・彼氏さんの事を、自分の直感を信じて良かったのか不安でした。ですが・・私の事を何も詮索しないで、最初は本当に話をしながら帰るだけ。メッセージは遅れる時以外は全くなし。そんな日々を通じ、少しづつ信用して安心できる様になったんです。彼氏さんには一緒に帰って欲しい、けど私の事はあれこれ詮索されるのは嫌だったんです、最初は。」

「・・・」

「けど・・毎日一緒に帰る内、段々と彼氏さんの事を知りたい・自分の事を知って欲しいって思う様になってたんです。そして・・少しでも長い時間一緒にいたいとも。当初の疑問形の片思いが、本当に片思いになったって言えば良いんでしょうか・・よく分からない言い方でごめんなさい。」

「伝わるから大丈夫だよ。」

「正直な話・・ごめんなさい、外見だけだと彼氏さんは私の好みでは無かったです。ですが・・誠実で優しそうだけど、イマイチ頼りなさそう。けどいざって時は守って貰えるんじゃないかなって・・風紀委員との時を思い出しますね、彼氏さんのせ・く・は・らっ。」

「そっち!?」

「冗談です。けど、彼氏さんとの毎日の下校、安心できる日々でした。普通、男女で帰るなら変化や刺激を欲しがる思いませんか?けど、私は刺激よりも安心とか安定が欲しかったのかな?思います。だから他の男性の告白が受け入れられず、彼氏さんとの一緒の時間は安心を得ていたのかも知れません。」

「・・・」

「告白に関しては嫌な想い出・・あるので・・」

「大丈夫?」

「ごめんなさい、余計な話を長々と。本題に入りますね。

私の家の近く、幼稚園に小中高校が徒歩10分圏内にあるんです。通学には便利な反面、色々とトラブルも多かったんです・・家の近くの高校、中学生時代にトラブルばかり起こした人々の受け皿みたいな学校になってて、その影響で小学校や中学生が高校生から狙われて・・色々とありました。」

「もしかして・・」

「私も巻き込まれました。小学校の下校時、男の高校生数人に無理やり人気のない場所に連れていかれ・・」

「え・・・」

「変な事をされる直前、私の担任が駆け付けてくれて事なきを得ました。」

「それで・・」

「高校生とはいえ立派な誘拐です。警察沙汰になり、高校は今まで有耶無耶になってた数々のトラブルにも厳正に対処を始め・・小学生・中学生もアンケートや聞き取りで調査が入り、かなりの高校生が退学や停学処分に。一時に比べたらクリーンな学校にはなったみたいですが、私達地元の卒業生は殆ど行く人はいなかったです。」

「それは行きたくないよね・・けど、彼女さんに手を出そうとしたとか・・豚のエサにしてやりたいが、それは無理か。けど担任の先生のお陰で助かったんだね。」

「・・・」

「?」

「彼氏さん、私の話に違和感感じませんでしたか?」

「・・どういう事?」

「私が担任の先生に救われたのは確かです。ですが学校ならともかく、何故『下校中』の私が『担任』の先生に助けられたのか・・おかしくないですか?」

「・・確かに・・近距離とはいえ、なんで担任の先生が助けに来れたの?」

「私はGPSや防犯系の持ち物があった訳でも、大声を出した訳でもないです。なのに先生が助けに入ってくれた。その理由は小学校の卒業式に分かりました。」

「・・教えて貰ったの?」

「そうです。卒業式の日、私は式の後に先生に呼ばれて人気のない所に連れ出されました。そして・・・・先生から・・・私と結婚したい、子供が欲しいって・・抱きしめられ・・身体をあちこち・・・ました。」

「!?」

「・・・私を助けられたのは・・毎日・・下校から家に帰るまで見守っていたから・・学校にいても、私の事ばかり見ていたらしいです。私は確かに『先生』として助けて頂けた恩は感じてましたし、尊敬する人として好きでした。けど、先生は私に・・恋愛感情を・・ストーカーって形で・・」

「・・反吐が出る・・いや、俺はともかく、彼女さん大丈夫?無理し」

「大丈夫です!!・・彼氏さんの迷惑でなければ・・全部・・吐き出さ・・せて・・」

「彼女さんの気持ちは分かった、けどちょっとだけ休憩しよ。ね?辛かったよね、苦しかったよね・・俺じゃ頼りないかもだけど、今は寄りかかって・・ね?」

「・・・信じてた、憧れてた・・なのに!!・・先生は・・・そんな目でしか私を見てなかった!!嫌い、嫌だ、私を襲おうとした男と同じ!男なんてみんな同じなんだ!!!みんな私の容姿と身体にしか興味無いんだ!!嫌い嫌い大嫌い!!誰も・・私の気持ちなんて分かろうとしてくれないんだ!自分の欲求さえ満たせたら私の気持ちなんてどうでも・・いいんですよね・・彼氏さん・・」

「・・正直・・俺も彼女さんに対して他の男と大差ない気持ちは少なからずあるよ。だから・・偉そうな事は言えない。大体が自分自身・・まだ彼女さんに何も出来てなん・・っ・・」

「・・うるさいお口なので、無理やり塞いでしまいました。彼氏さんは・・他の男性とは違います。偶然やかなりの贔屓目もありますが、高校時代は私が望む距離感でいてくれて、身内以外の男性で唯一、一緒にいて凄く安心できる人でした。朝は友達が、帰りは彼氏さんが一緒だったから高校に通えました。もしいなかったら・・帰りは小学校時代のトラウマで1人で帰る日々は耐えられ無かった思います。」

「じゃ・・俺と出会うまでは?」

「最初は小中学校時代の友達と帰ってましたが・・クラスが違えば交友関係も変わります。そして部活・バイト・・彼氏が出来たりで、段々と毎日予定が合う友達が居なくなってしまいました。将来の事を考えたら、何時かは大学なり就職なりします。その時は否応なく1人で帰宅です。その事を考えたら毎日お母さんに頼る訳にもいきませんでしたし・・」

「それで1人で帰る事になって、俺に声をかけてきたの?」

「おおよそそんな感じです・・下校時、待ち合わせしてる感を装い、色々な人を見てましたが・・この人なら安心出来そうって人がいなくて。彼氏さんは何故かこの人と一緒に帰りたいと思わせる何かがあった、本当に一目惚れという不思議な直感でした。」

「けど・・これからは1人だけど・・」

「彼氏さんと一緒に帰るようになってから、土曜日や日曜日、長期休暇時は少しづつ1人で外出する様に練習・・は変ですが、慣れてくようにしてました。中学生時代は怖くて休みの日でも1人で外には出れませんでしたが、今はちょっとは1人でも出歩ける様になりました。暗かったり人の少ない所はまだまだ怖いですが・・」

「そうだよね。」

「彼氏さんに出会えなければ、もしかしたら1人で外に出れなくて引きこもりなってたかも知れません。だからお母さんも私も彼氏さんに感謝してるんです。」


次話/デート1-8「ヒロインのお願い」


※犯罪は許されざるべき行為です。あってはならない展開を申し訳ございません。






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