オモイアイ
もち
オモイアイ
私は二人組アイドルグループに所属している。私はまったくもって人気ではないが、相方の彼女は今話題沸騰中の大人気アイドルだ。どうして2人で組んでるんだとか、このグループって1人だけだっけ、とか今まで散々なことを言われてきたが、全くもってその通りなのでどうにも反論する言葉がない。
相方である彼女は才色兼備で天真爛漫、まさに天性のアイドルだ。そんな彼女とグループを組むようになったのは、ただただ幼馴染だという理由からだった。私が昔、アイドルとか向いてそう、私なら絶対推すのに、なんて軽口で言ったら、私がやるならやるなんていうからどうしても彼女のアイドル姿が見たくて、ノリで応募してしまったというわけだ。初めは私自身もたくさん努力して、厳しい評価の中でも何とか耐え忍んでやってきた。でも、ある時気づいてしまったのだ。私は一生彼女には勝てないし、むしろ彼女が私と一緒にやりたいとゴネているからお情けで生かされているだけのただの金魚のフンだったということに。
彼女に「私は向いてないみたいだしやめようかな」と切り出したこともあったが、「じゃあ私もやめる!」なんて笑顔で言われてしまった。そんなの彼女のファンに申し訳ないし、何より彼女の芽を潰してしまうことになる。だから結局、辞めることも出来なかった。
彼女は私とばかり一緒にいて全く他の人と交流しようとしない。ファンとの交流や様々なアイドルとしてのチャンスを機に、そろそろ幼馴染離れをして欲しいと思う。彼女にはたくさんの人に囲まれて、楽しい人生を手にして欲しい。私のせいでこの輝く原石が光を失ってしまうと思うと悔やんでも悔やみきれない。
でも、そんな彼女が私のことばかりを気にしているところはどうにも憎めないというか、率直にいえば好きだ。皆の手に届かない完全無欠が私にだけに心を許してくれるのは、有象無象な私にとってこの上ない喜びだ。だからこそ、彼女が皆に愛されるようにと願う反面、彼女の瞳が映す全てを奪いたい。私だけのものにしてしまいたいと思う。そんな相反する感情で私は今日も押しつぶされそうになっている。
オモイアイ もち @mochichi_002
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