余命60年の私と余命8億年の君

@tori_mochii

「お目覚めでしょうか、お嬢様！

　今日は何をして過ごしましょう！！」

時刻は朝5時半。

築31年のボロアパート。

そこに相応しくない執事服の少女が朝を告げる。

「あとちょっと寝かせてぇ……」

私の目はまだ覚めていない。

布団を頭まで被り、まだ寝たいことをアピールする。

「いえ！時間は限られています！！

　今日はサッカーなどいかがでしょうか？？」

さっきまで執事服だったのに、もうジャージに着替えている。

「あと21人足りないよ……」

私は運動は苦手だ。

できれば参加したくない。

「では今日はメンバー集めですね！

　善は急げです！早く起きましょう！」

布団を無理やり奪い、叩き起こされた。

「なにせ私たちに時間は残されていませんからね！」

その言葉を聞き、出会った時の彼女を思い出す。

山の中、一人泣いていた彼女のことを。

そして彼女を心配して声をかけたことを。

「お嬢様の時間はあとたったの60年しかないのです！1秒たりとも無駄にはできません！」

そしてそんな心配が杞憂であることも。

彼女は銀河の外から飛来したエイリアン。

元不老不死。

余命8億年を僅かな時間だという少女。

私の一生を一緒に楽しく過ごすこと。

それが私と彼女のたった1つの約束だった。

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