第8話 番外編 ねぇ、私のこと好き──?

(甲斐23歳 × 七瀬先輩25歳)


先輩からは甘い香りがする──。


デスクが隣の七瀬先輩からは、いつもお菓子のような不思議な香りが漂っていた。


きちんと話した事は無かった。けど、いつも部長に怒られる先輩の行動や言動が、心配で気が気じゃなかった。


「ん、やぁ……」


その先輩が俺の部屋にいて、今俺の腕の中にいて。


「か、甲斐くん……」


途切れ気味の息と一緒に掠れた声を吐き出した。

潤いを増したその瞳を見下ろせば、一気に自身にも熱が持っていく。


ちょっと、マズイな……。


「せんぱい。あの、スミマセン」

「……え」

「優しくは、無理かもです」


先輩の頭にポンと手を置いて撫で下ろせば、その大きな瞳をキョトンとさせた。


「好きですよ」

「う、うん」


今日、はじめて見つけた先輩の癖。照れるとすぐに目を反らす事。


「俺の事、好きですか?」

「だから、嫌なら部屋まで……」

「俺は好きですよ、先輩の事」

「……っ」

「も、すぐ入れちゃいたい位」

「あ、……やんっ」


反らしたままの瞳をギュッと閉じるから、その愛おしい瞳に何度もキスを落とす。


***


「……甲斐くんの馬鹿!」

「すみません」

「全然、優しくないじゃん!!」

「先輩が予想以上に可愛くて、抑制が効きませんでした」

「……!?」

「でも結構感じてませんでしたか?」

「……っ!!」


下から覗き込めば、顔を真っ赤にさせて頬を膨らませる先輩がいた。

照れた時に、目を反らす以外にこんな顔もするんだ……。

子供っぽいけどやっぱり可愛いなと、自然と口元が緩んでいった。




―FIN―

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キミの魔法にかけられた みかんの実 @mikatin73

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