(三)
これは私、清水唯の遺書である。
そして同時に、恋文でもあります。
全てを終わらせるために、正しいところへと帰すために、私はこうして言葉を綴るのです。
死すべき化け物である私は死にます。
私がこの手で殺します。
そうすることで、私の永遠の飢えは、渇きは、ようやく終わりを迎えるのです。
私を満たせる本当のひとつとは死でした。
それさえあればもう、私は辛くはありませんでした。
ですが、死神の手にこの命を与えてやるのではありません。
この命にはまだやるべきことがありました。
私は現世の中で、輪廻を巡らせることを決めたのです。
それは贖いのためでした。
もしかしたら贖いというそれすらも、私のためであり、エゴイズムだったのかもしれません。
しかし私は、私に課すことを決めたのです。
きっとそこに意味がある。
私は私を初めて選びました。
死ぬことを選びました。
生きることを選びました。
思考しました。
償うことを決めました。
私は愚かで、醜く、浅ましく、恥知らずな化け物でした。
とても孤独でした。
ひどい苦痛でした。
化け物のままでは生きていけませんでした。
そしてこの汚れた手で、汚れた人生の始末をつけたとき、私はこの世で最も満たされていました。
空虚ではありませんでした。
死神には、かつて私だった空洞を捧げましょう。
それは終わりゆく私の、運命でした。
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