小説投稿を“就活”と捉える、新時代の創作論!
- ★★★ Excellent!!!
タイトルからしてすでに全力投球。
「書籍化=就活」――おお、そうきたか!なるほど一理……いや、三理くらいある。
その視点、控えめに言って革新的ですよ先生!
……ただ、ひとつだけ言わせてください。
ボクには夢がある。
印税で鶏を飼い、産んだ卵の不労所得で生きていくという野望が。
だから「就職活動」という単語を見た瞬間、思わず叫んだんですよ。
「いやだ!働きたくない!もう社会に揉まれたくない!」
けれど読み進めるうちに気づいたんです。この作品、「就活しろ!社会に従え!」って話じゃない。
むしろこう語りかけてくるんです。
「自分の作品を“売る”って、そういうことじゃない?」
社会人なら当然やんなきゃいけないことを、鋭いナイフでそっと脇腹を撫でるように突きつけてくる。それが痛くもなく、むしろ気持ちいい。で、気づけば頷いてる自分がいた。ちょっとだけ社会に許しを乞いながら。
内容面で見事なのは、創作論を精神論にとどめず、「アカウント設定」や「ペンネームの設計」など、めちゃくちゃ実務的な領域にまで踏み込んでいる点。
プロフィール文=履歴書という発想も最高。
「読者は人事担当者」「まず足切りされないための文面を整えろ」って、なるほどそういう見方があったか!と膝を打ちまくりました。
そして何より、文体がイイ。
ボクも創作論を書く人間として思うけど、あのテンションの高さを保ちつつ、押し付けがましくなくて、でも伝えるべきことはキッチリ伝えてくる。
これ、「知性のあるおしゃべりオタク」だけが出せる味なんです。
わかる、ボクも頭いいはず……!(と、自己肯定感を上げさせてくれる系文章)
意外と“読みやすい創作論”って少ないんですが、本作は構造的にもきちんと「読ませる」ことを意識してる。
そして地味に痺れたのが、「本職は伏せてます」のくだり。
あそこに全てが詰まってる。
SNS時代って、何を語るかと同じくらい「何を語らないか」が重要なんだよなって……痛感。
あーーボク本職しゃべっちゃってます。もう遅い。