第2話 過去
「ははっ!あいつまだ学校来てるよ!いい加減自分がいらない存在だって気づかないのかなぁ?」
いつも通りの朝、なんてことのない悪口を聞き流しながら一コマ目の準備をする
なんで私がいらないクラスやあいつらにとっていらない存在だからって学校に来ない理由になるのだろうか、私は私のために生きている。しかも、だからといって人様に迷惑をかけているつもりはない。
「友達もいない、何なら知り合いすらいないなか、学校来て何が楽しいんだろうね~」
学校とは、本来学業にいそしむ場だと考えている。逆に授業中まで友達と話したり、寝たりしていて、何のために学校に来ているのだろうか。そんくらいどこでもできるのに。
「まぁまぁいいじゃん!あんな詰まんないやつほっといて、私の話聞いてよぉ!最近そうくんがねぇ、、、」
幸運なことに私の話題は終わったようだ。聞く気がなくても自分に関する話題はどうしても耳に入ってきてしまって集中できない。
「おぉい!お前らぁ!なんで授業始まる直前に誰も席についてねぇんだぁ!?ああぁ!?俺のこと舐めてんのかぁ!?俺らの時代はなぁ!!」
「う~わこっわ~。じゃ、席戻るわ~」
さすがにそこまで怒ることじゃないとは思うが、静かになったので、堅頭先生には感謝しておこう。
「これはぁ!キルヒホッフの法則っていうんだぁ!」
こんな先生だが授業はなんとなくわかりやすい。
そんなこんなで放課後、学校にとどまる理由もないので教室を出るために、扉に向かっていたら「あははは!もう帰っちゃうんだぁ!なんで友達とはなさないのぉ??」
こんなこと、気にする意味はない。私は帰る。
そして私はバイト先に向かう。友達と遊ぶわけでもないのに何のためにバイトするんだ、と思うかもしれないが親に頼っていられないからだ。数か月前に親と喧嘩して、「もうお前はうちにいる意味はない!出ていけ!」と言われ、最低限のものだけ持たされ、家を追い出されてしまった。一応、親であるが故、住居などの手続きはしてくれたが、最初に渡した金以外は出さない、と言われてしまった。そのため働かなければ暮らしていけないのだ。
そしていつも通り、無感情にレジ打ちをしていると、「ねぇちゃん!あれくれ!」と煙草のところを指さし、なんか言っている。「すみません。番号で言っていっただけませんか?」「あぁあん!?あれっつてんだろ!店員なんだからおとなしくよこせよ!」この手の人間は話を聞くことができない。話ができないのであればどうしようもない。と困っていると、「おっさん、客だからって何してもいいってわけじゃないっすよ」先輩だった。「何言ってんだ!お客様に対してそんな言葉遣いしていいと思ってんのか!」
「だからぁ、客だからって何言ってもいいわけじゃないって言ってんのわかんない?あ?」
「ふん!もういい!」迷惑客は出て行った。
「先輩、ありがとうございました。」
「いやいや、迷惑客の対応は先輩がすることだろ~?」
そうなのだろうか、たいていの人は面倒ごとにはかかわりに行かないものだと思うのだが。
「ありがとうございました。じゃあ、私はそろそろ時間なので 帰りますね~」
「おう、おつかれな~」
きっと、あの先輩は心底優しい人なのだろう。
私は、優しくすることと、優しいことは違うと思っている。
「ただいま~」
「オカエリー!!」
いつも通り、妹が迎えてくれた。そう、親にうちを追い出されたとき、妹がどうしても私と離れたくないといい、妹までついてきてしまったのだ。最終的な決定権は私にゆだねられ、妹の意思を尊重することにしたのだ。
「おねーちゃん、私のこともあってこんな時間まで働いてるのー?」
「ん~ん?全く違うって言ったら嘘になっちゃうけど、私は紗枝がいるから、ずっと頑張れてるんだよー?だから紗枝はこうやって、普通の日常を送って、私を迎えてくれるだけでいいんだよ~」
「そっかー!じゃあ私もおねーちゃんのことこれからも毎日お迎えするね!」
シアワセ? あまべ @bebeama
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