人魚達との邂逅
「あ、あなたは.......まさか、バハムート!?」
目の前にいる俺に対し、そう言う人魚のリーダーらしき男と騒つく人魚達。
は?は?何言ってんの?
俺ウーパールーパーだぞ?
そんなゲームとかでよく登場するモンスターとかじゃないぞ?
つーか人魚って存在したのか.......
「水聖竜バハムート様、あなた様が暮らすこの湖に侵入したことはお許しください。ですが....ですが......どうか我らをお助けください!!」
「.....へ?」
え、何これ?
何でみんな俺に対して土下座してるの?
もしかして、コイツら俺に頼ってるの?
てか、俺の転生先のバハムートなの?
まぁ、んなわけないよな。
「えっと、俺はバハムートじゃなくてウーパールーパーだぞ....?」
俺がそう言うと、人魚達は顔を合わせたかと思えば
「ウーパールーパー?」
「恐らく、古代語でのバハムート様の呼び方だろうな」
人魚達はそんなことを呟いた。
....ん?
「俺、マジでバハムートなの?」
俺が人魚達にそう言ったところ、コクリと頷く人魚達。
マ、マ、マ....マジで!?
「聖なる清い水に住まいしは荒ぶる水を鎮めし水聖竜。聖なる水の竜は汚れのない純白の体と六つのエラを持ち、その力で邪悪なる者の封印せん....まさに伝説通りだ!!」
汚れのない純白の体と六つのエラ。
うん、間違いなく俺じゃねぇか!!
ウーパールーパーがバハムートとか笑えないぞ!?
てかウーパールーパー=ドラゴンってドユコト!?
俺、そんな大した力は持ってないぞ!!
と、そういうことを思いつつ人魚達の言葉が気になった俺は、彼らに対してこう尋ねた。
「というか、さっき自分達を助けてくれって言ってたけど.....何かあったのか?」
その言葉にを聞いた人魚達は、俺に向けて自分達がこの湖に来た理由を語り始めた。
人魚達は元々海の中でのんびりゆっくり暮らしていたらしいのだが....ある日、突然海の近くにポーションの工場が建てられたことによって海洋汚染が進んだ結果、彼らが住んでいた海は住みにくい場所になったらしい。
突然ながら彼らは工場の関係者に抗議を行ったのはいいものの、結局工場の関係者達は海の汚染を続けたために人魚達は泣く泣く海を出ることになり、新たなる棲家を求めて陸地を彷徨い歩いた末にこの湖に辿り着いたとか。
ちなみに、人魚達は陸地に上がると自然に下半身が人間の足に変化するらしい。
うわぁ、羨ましいなぁ。
「我々の住む地はもう汚れてしまった。だから、僅かな望みを掛けてこの湖に来たんです」
俺に向け、そう言う人魚達のリーダー。
なるほど、つまりは公害で故郷を失ったってことか。
にしても....この世界にも公害的なやつはあるのか。
まぁでも、俺にはコイツらを見捨てるほど情が無いってわけでもないし....何より、のんびり暮らすのに人数なんて関係ないしな。
「この湖に暮らすのに俺の許可なんているのか?」
「「「「!?」」」」
俺がそう言うと、目を見開く人魚達。
そんな人魚達を尻目に、俺は彼らにこう言った。
「俺は一人には慣れてる。けど、誰かを見捨てるほどの悪人でもない」
俺がそう言うと、徐々に顔色が良い意味で変化していく人魚達。
そして
「と言うわけで、これからよろしくな」
と俺がそう言うと、人魚達はありがとうございますと口々に言った後......深々と頭を下げた。
こうして、俺ののんびり生活に人魚達が加わったのだった。
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