若い男女の別れの物語である。よくある話だ。だが本作はそれで終わらない味わいがある。まず大学生の男女二人の関係がリアルだ。初っ端から事後であり、ラストも致している最中で終わる。しかし二十歳そこそこの好き合っている男女などそんなものである。寸暇を惜しんでというのが普通であろう。そのあたりを糊塗せずに、そこに別れの物語を絡めているために、何やらあの時分に舞い戻ったような錯覚を覚えた。加えて二人が付き合って別れる理由が皮肉である。主人公の恋人は中国人の女性だが、主人公には全く差別意識がなく、彼女もまたそれを感じ取ったために約束されたさだめのように恋に落ちる。「国なんてそいつの価値には何の関係もない」とさらりと口にするのが清々しい。しかしそれだけ真っ直ぐに、本質だけを見つめる二人だからこそ、自分の進む道に妥協しない。別れ難い思いを引きずりながらも、互いの道を違える。遠い将来、お互いを思い出しながら死のうと言葉を交わしながら、プールの中で行為に励む二人は切ないんだか滑稽なんだかわからなくなる。だが、これだけ求め合っても別れる二人の関係は、切ないばかりでもなく、まだまだ先が長い若者たちだからこその強かさを感じさせるものでもあった。
読了したので書きます。
エアコンの冷たさと抱き合う体温。見る者を魅了する男と女。光る汗とそれが生み出すぬめり。添えるのは、好きという強い情。
画としても美しい肢体。そこに透明感のある夜のプールがこれに合わさると更に魅了されてしまいます。ここに互いを掴んで離さないというぐらいに強い「好き」という感情が合わさると目が離せなくなる熱に魅了されます。
名作家アンデルセンが書いた『人魚姫』は儚く美しい。そして、本作もまた負けず劣らずに揺れぬことなき「好き」の純情が麗しい。
熱と冷がせめぎ合う物語は、透明感のある美しいもの。
この端麗な感情が漂う作品に是非とも目を通していただきたいです!!
恋人同士であるジムで鍛えているヒデと留学生のチュンチュン。
風呂のないアパートで汗だくになった後に「中学校のプールに行こう」となった。
別れが運命付けられた二人、プールの水を切って泳ぐ彼女の姿はとても綺麗で、まるで人魚のようだった。
根底にあるのは『青春』だと感じました。
じゃれ合いながら互いを確かめ合う、他愛もない事で笑い合う、それでも、決して結ばれる事のない二人、それこそ『人魚姫』のような物語。
人魚は最期に泡になって消えるのが御伽噺ですが、せめてそれまで二人は抱き合って――。
胸がぎゅうっと締め付けられる切ない恋の話でした。
※スピンオフもある話ですが、今作の感想とさせて頂きました。
熱帯夜に愛し合う二人。国は違えど、ヒデとチュンチュンはお互いを分かり合えるかけがえのないパートナーだった。そんな二人の一夜の逢瀬の物語。
むせ返るような夏の夜の空気感に、プールサイドのカルキ臭。揺らめく水面に映る青い光が綺麗です。
情景描写が丁寧ですがどこか幻想的で、まるで二人のためだけに用意された夜のように感じられて美しいです。この文章や情景自体が、作者様の二人へのプレゼントのように思えて素敵です。
心をさらけ出せる相手がいることの幸福と、それすらも終わりがあるということを知ってて求め合う二人の官能シーンは、悲しみの裏にどこか気品があって胸を打たれました。
個人的に、FNCYというユニットの「AOI夜」という曲が合うなぁ~と思い、リピートしながら読ませていただきました。ヒデとチュンチュンの、可愛らしくも切ないプールのような青い夜。お二人のスピンオフも読んでみたくなりますね!
ちょっとR─18な作品となりますが、大人な恋物語です。おすすめです!
描写が上手くて、どのシーンも凄く引き込まれる作品。結構エロス的な愛が書かれているが、直接的すぎず不思議と下品すぎるという感じもなく、不思議な作品である。
おそらく、ヒデとチュンチュンの関係性にも焦点をあてながら、何気ない蒸し暑い日の出来事として描写されているシーンも多いからではないかと感じている。どうしてこの二人は身体的に繋がりを持っているのだろうか? そんなことを考えながら読むことも出来て面白い。
そういうシーンも含みつつ、ヒデとチュンチュンの恋愛についても短いながらに濃い関係性も含まれているので、そういった恋愛が好きな方も是非読んでみていただきたいと思う。
※注:R-18作品です。
冒頭からいきなりやることやってて「ふーん、エッチじゃん」と思うなど。
なかなか攻めてますね。
しかし後半、前半よりももっと攻めた生々しさを伴う表現で描かれ、かなりドキドキさせられました。
純粋にその内容にもですし、シチュエーションに至るまでにもまた別のドキドキを感じられ……そして、「これカクヨムさんOKなの!?」という、メタな意味でのドキドキ。
実に攻めてます、きわどい!
その一方で、そこまでに至る男女間の深い愛も語られ、ただやることやるだけの俗な作品ではない、しっとりとした大人な作品に仕上がっています。
互いの環境や生きてきた人生に色々あったのだろうなぁ、と思わされたり。
ともかく、お子様には読ませられない、そして読んだとしても深くはわかられない、そんな大人な作品です。