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投げつけられた相田と、驚いたまま固まっている佐藤。彼らの周りには薔薇の花が見えた気がする。もうそれでいい、好きにしてくれ。思考を放棄した私は今、誰よりも無敵であった。もはや心を捨てた、半怪物状態なのだ。


「ど、どうすんのよ!!」


誰かが私に叫んでいる気がするが、相田や佐藤を止めに行かないあたり、彼女たちも察してしまったのだろう。

 顔の良さと、ただならぬ雰囲気がそこにと。

 

私は自分の席に座り、いつも通りノートに文章を描きしたためる。


___思えばいつでも、私は誰かとの間に挟まっていた気がする。どこからこの悪夢が始まってしまったのか?ああ、仏様。どうかこの運命から私を救ってくださいませ...。


我ながら書き出し上等だなぁ、今回もいいものが書けそうだ。今日もまた、こうして2人の人類を救ってしまうのか。なんて偉いの私、もうとんでもない!


今更だが、ここで改めて自己を紹介したいと思う。

私の名前はあざみ、ではなく天使えんじぇる。パワフルキラキラネームの正体を隠しながら生きる、なぜか無意識に薔薇を紡いでしまう化け物の成れの果てであるのだった。

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ハザマのにんげん。 ひじま @hijima316

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